「厳しくて、残酷で、だけど優しい物語」幼い依頼人 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
厳しくて、残酷で、だけど優しい物語
弁護士資格をはじめとして多くの資格を持っているけど、ぐうたらな男ジョンヨプ。姉夫婦と同居しているが、姉にせっつかれて児童福祉館で働くことに。冒頭のソウルの法律事務所面接試験にて、キティ事件の目撃者が有罪か無罪かという質問もストーリーに味付けをしていた。
日本でリメイクするなら星野源が適役か?って感じのイ・ドンフィ。幼い姉弟から「アジョシ」と慕われつつも面倒くさくなって、いいタイミングで法律事務所の就職が決まってしまう。しかし、虐待の疑いがあるにも拘わらず放っておいた自責の念が、弟ミンジュンの死によって沸々と煮えかえってくる。姉ダビンが犯人?そんなバカな・・・
継母であるジスクの鬼のような演技がたまらない。もう子供目線になってしまい、怖くてしょうがないのだ。腕に巻いていたゴムを髪留めにしたら最後、もう逃げられない・・・殴る、蹴る、怒鳴り声。アパートの隣人たちも気にはなってるけど手が付けられない。警察に電話しても、児童相談所職員がやってきて事情を聴くのみ・・・
伏線などもわかりやすく、サッカーのキーパーをつとめるジャンホがナイスプレイを決めるのは読めるし、ゴリラ君とママの写真、そして紙飛行機。全てが優しく響いてくる。それにしても、親権を盾にしてあからさまに罵倒を繰り返す両親。それに怯えて心配する近隣の人も手を出せないでいる様子がやるせない。ただ、担任の先生だけは日本からみるとちょっと無責任かな・・・
裁判のシーンがクライマックスにはなるものの、その前にダビンが鼓膜を破られたりあざを作ったりでバタンと倒れるところで泣いたもんだから、もう涙も枯れてしまいそうなくらいでした。そして、決定打のビデオでも・・・。ハッピーエンドっぽいのですが、ダビンにとっての弟の死は一生残りそうな傷になることだろう。それを想像したらまた涙。これだけ泣かされたのも久しぶり。