ハニーボーイのレビュー・感想・評価
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行き場のない子どもの怒りと愛
シャイアラブーフさんをわたしは知りません。
観ない系統の映画に出ておられるので、お名前もピーナッツバターファルコンまで知らなかったです。
ピーナッツバターファルコンも見逃してますし…
ではなんで観たかというと、ルーカスヘッジスとノアジュプ目当てでした。
シャイアラブーフさんの自伝的内容で、自ら脚本も書いてる。リハビリの過程で書き始めた自分の過去が、元になっているとのことでより興味が湧きました。
自らを物語ることは、心理療法でよくある手法で、多分効果もある手法だと思います。わたしはそのじぶん語りに耳を傾けることが好きなんです。
なので、あらかじめある程度の満足感は得られると踏んで見てきました。予想より、満足しました。
その要因はあの境遇にあってなお、オーティスはあの父を愛してるという、無垢さが滲みでたからだと思ってます。
手を繋いで欲しいと父に頼みましたが無視されてたと思います。
晩ご飯を買いに行くトラックへの道すがら、そっとオーティスは父の手を握ります、一瞬握り返してくれたように見えましたが、トラックが近づくと、父は手をほどきます。
行き場のないオーティスの怒りが、廃車場みたいな公園?で爆発していて悲しかった。大きくなるにつれてその怒りの爆発が日常生活を蝕んでいったんだろうな。
父親らしく愛して欲しかったという叶わぬ願いと、
自らの混乱を振り返ってなお、父を愛するって結論づける、
まっすぐな映画です。
父に愛情がなかったとは思わない。
でも、子を愛するには足りないと思う。
ノアジュプは将来が楽しみです。
逆光が眩しい映像もチャームポイントかと。
【"禁酒会"に通う精神的に不安定でやや粗暴な”ステージパパ”と子役との複雑な関係性を描いた作品。】
-シャイア・ラブーフ。
子役から映画スターに登り詰めたが、数々のトラブルでも有名。「ピーナッツバターファルコン」(素敵なロードムービー)撮影中、酩酊してトラブル。
悪童、マッケンローを演じた際は"適任だ!"と思った俳優。-
■今作品は彼自身が、父から受けた行為により、心的外傷後ストレス障害を煩う映画スターになり、数々のトラブルを起こす事から這い上がろうとする状況を背景に、現在パートをルーカス・ヘッジズ : 役名はオーティスだが、誰が見てもシャイア・ラブーフ・・。
過去パートを名子役のノア・ジュブ(近年「サバービコン 仮面を被った街」「ワンダー 君は太陽」「クワイエット・プレイス」「フォードvsフェラーリ」など大作、名作で強烈な印象を残す・・)が演じ、父ジェームズをシャイア・ラブーフ自らが演じている。
■印象的な部分
・オーティスは父から「愛している。子役として、頑張っている。」という言葉を掛けて欲しいのに、厳しく接しられる事が多く、同じモーテルに住む少女が、心の拠り所となっている・・。
・だが、父も息子に養って貰っている事実に、屈託を抱えている・・。そして、粗野な言動、行動をしてしまう・・。
(シャイア・ラブーフが、この父の屈託する姿を実に巧く演じている。)
・現代パートの、事故を起こし更正施設に収容され、苦悩するオーティスをルーカス・ヘッジズが巧みに演じている。
〈救いは”あのラストシーン”だろう。
シャイア・ラブーフ自らが、この映画製作を切っ掛けに”負の連鎖”を自らの意思で止める事を切に願います。〉
見慣れた作品
オーティスの父親役のシャイアの経験を基とした作品。それを事前に知った上で観ると、シャイア演じるジェームスの未熟さや勝手さの中にどこか寂しさが蔓延した父親を魅力的に演じてくれた。
まぁ作品としては特別目新しいものではなく、虐待や暴力から生まれる人間関係には恨みしか生まれず、その恨みは世代を超えて連鎖し最後は恨みが自分を苦しめるといった見慣れた作品ではある。
その為まぁ若干退屈な時間もあったが、それなりに見られる。
父親のジェームスはどうしようもない父親である。ただジェームスもまた両親がアル中で暴力の中で育ってきた。故に小学生のオーティスにも困った時は暴力で教育する事しかできず、そんな自分に嫌気が差した時は酒で逃げるといった自分の親と同じ道を歩む。
そんな環境の中苦しんできたオーティスもまた大人になったパートでは同じように酒と暴力で人生を悩ませてる。
この世代を越えた連鎖の原因はなにか。この作品では恨みこそが原因の一つとして描かれており、強い恨みがトラウマに変わりそしていつまでも自分を苦しむ原因の一つとして描かれている。
人への恨みというのは生まれてしまうと中々簡単に消せるものではない。ただし恨みで自分の人生を振り回してしまうのはとてももったいないことである。
この恨みを解消するには何か。恨む相手を許し新しい関係を築く事として最後に父親と抱き合うのだが、この辺があっさりしていたのが少し作品としては淡白に感じた。
自身の体験だけにシャイアの演技はとても魅力的ではあったが、まぁ良くも悪くも見慣れた作品ではあった。
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