「ビックフォードの創作の源に迫る」モンスター・ロード ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
ビックフォードの創作の源に迫る
2019年にこの世を去ったアニメーション作家、ブルース・ビックフォードの生前に撮られたドキュメンタリー。彼の創作活動の源になるものはなんなのかに迫るとともに、アルツハイマーの父の姿も映し出されている。無限に変化してゆくクレイアニメーションが随所に挿入され、ビックフォードが半生を語る。掴みどころのない人物であるのは、彼の作風にも通じる部分だが、家庭や戦争体験が色濃く影を落としていること、暴力を描くことへの深い思索を感じさせる。
ビックフォード本人が過去を語る声にあわせて、彼のアニメーションが映し出される。アニメーションによって彼の語りに説得力が生まれている。ドキュメンタリーにおけるインタビューパートの作り方としてアニメーションを使うのは面白いと思った。実写で再現パートをやるよりもアニメーションの方が心理的なリアリティを生み出せるという点で、アニメーションとドキュメンタリーの相性が良いんじゃないかと考えさせられた作品だった。
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