劇場公開日 2020年9月18日

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「新型タイムワープSF!」TENET テネット N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0新型タイムワープSF!

2020年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

未来を救うため、過去を変える。
過去へ戻ってもう一度やり直す。
過去、幾つも「時間」をギミックに据えた作品はあれども、
結局、主人公たちの時間は正転するしかないのだがこの作品は違った。
前を向いて時間の中をさかのぼってゆく、逆転するのだ。
このベクトルの違いが作品の少々難解なところでありハイライト、面白味となる。

インセプションも、ある一点に向かい全員が一斉に動き出すダイナミックな展開がたまらなかったが、こちらもある一瞬へと全員が収れんしてゆくスリルがたまらなかった。
時間を逆行する以上、結果を先に目の当たりとし、後に原因を知ることで受ける衝撃もジワリ、重い。その精密さはインセプションと変わらず、一度で全てを観切ることは難しのではないか? と思う。

万人受けとは言い難いマニアックさにまみれているが、間違いなくSF好きにはたまらない一作だろう。
そして今回も思うに、ノーラン監督のロケ地選びはセンスがいい。
あと楽曲も絶対、正転、逆転の両方がかかっていると思ったのだが、どうだ?

追記
この映画はもしかすると「フィルムの編集作業」そのものを落とし込んでいるのかもしれない。
編集マンの時間軸は常に正転だが、作業に合わせてフィルムは適宜、巻き戻すこととなり、逆転させて目的の地点へ向かいつつ作業を行うその立場は、ちょうど主人公たちと重ならないか。
その編集マンが劇中のどこにいるのかを想像すれば、壮大な全体像が見えてくる気が「してきた」!

N.river