「何度も映画館に足を運ばせる作品!」TENET テネット ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
何度も映画館に足を運ばせる作品!
初回観賞時の感想。
監督過去作の「インセプション」「インターステラー」を観た身としては「ノーラン監督、今回はSF要素の中でも複雑な「時間」というモチーフを用いて更に色んなテーマを発展させてこうきたか…!」という感じでまず感動。ノーラン監督は作家論を書きたくなるクリエイターだ。
しかしこれは色んな点で1回観た感じだと混乱の極みなのでもう一度観に行こうと思う…!
しかしノーラン監督作品だから!と心して観たのにわからない点が多すぎて悔しい…。
名前がない主人公。TENETとは一体何なのか?突き詰めると主人公のこと?
一連の戦いの本当の発端は何なのか?
時間はループしているのか?パラレルワールドなのか?
この映画において起点となるシーンはどこなのか?(時間軸で考えると映画の流れ通りに時間が流れているわけではない?)
異なる時間軸の自分と対峙することのリスクはどうなったのか?
…などなど細かな点を挙げればもっとたくさんの疑問が出てきて考え始めると頭いたくなる…!
それながら扱っているテーマは王道(おそらく)なのがすごく良くて、異なる時間軸からきたニールと主人公の友情は熱くて切ないし、主人公が時間に干渉することで大切なヒロインや世界を救うという結末も良い。
ロケーションも全世界にまたがっていたし、アクションシーンも派手で格好良くて映像も素晴らしかった!
派手すぎる空港爆破。過去に飛ぶと逆向きに流れる世界、熱が逆変換されるという何ともSFなギミック。
物語の解釈が追いつかずとも、これが構成、演出、アクションすべてこだわって考え抜かれた作品なのはわかるし、ラストシーンは熱かった…。主人公とニールの友情。一つの時間軸に留まれないニールの切なさ。
あと今回改めて感じたのが、色んなわからなさがシナリオや演出の荒さじゃなくてこちらの考察が追いついてないんだ、と思える作り手の作品を観る幸せ。
監督も本気で読み取ろうとする観客を信じてくれるし、観客も「ノーラン監督なら意図を持ってこうしている。わからないのは自分の解釈が追いついていないからだ」と信じられる信頼関係ができてるのがすごいことだよなあ…。
何にせよもう1回観に行くぞ。