「ノーラン度1000%の傑作」TENET テネット Flagmanさんの映画レビュー(感想・評価)
ノーラン度1000%の傑作
待望のノーラン最新作。
既に話題騒然ですが、それと同時に『難解』『意味がわからない』などネガティブな意見も聞ききました。
果たしてどうなのか。
結論から言うと最高だった。4.5点。
『難解』と言われる理由は分かります。
その部分については後半に書きます。
が、まず良かった点。
僕からすれば良かった点が9割以上占める。
まずこの作品を観るにあたりクリストファー・ノーランと言うこの分野の『天才』を軽く知る必要があると思います。
どういった監督で過去作はどう言う作風か?
僕の勝手なイメージですが。
ノーラン自身『時間』の概念に興味があり色々なイメージが湧いてる印象。
過去作を見てもお馴染みの時間トリックが良く見られます。
メメントに始まりインセプション、インターステラー、ダンケルク。
その全てが卓越したアイデアで一線を博した映像となってます。
今作はそのノーランのやりたかった事を全力で出せた作品ではないでしょうか。
『魅せる』『聴かせる』に関してはノーランの右に出る監督はいないと思ってます。
CGを嫌い度直球のアクションを好むド派手な映像、どのシーンでもノーランだと何故か分かる独特の画作り。
音は昔から、こんな大音量でBGM流すのかよ!と言わんばかりの鳴りやまない音楽ですが、ノーラン作品は観る側の高揚感を煽ってくる。
スクリーンに映るシーンとBGMが見事にリンクし、観る者の感情を揺さ振るのが上手い。
それは映画が始まって直ぐに始まり、ラストまで途切れない。
ストーリーに関しては正直言って王道のスパイアクション映画。
別に突出した内容ではありません。
第三次世界大戦を防ぐ為敵の悪事を阻止すると言うシンプルなお話ですが、王道からこそ監督、脚本家のセンスとオリジナリティが大きく反映します。
一言で言うと、ノーランマジックを三重にもまとったスパイ映画。
作中、一息付く間もなく一気にラストまで走り、散りばめられた伏線の回収もスピーディかつキレキレ。それなりに観終わった後の疲労感はありますが、これぞノーラン映画!と唸らせてくれる事間違いなしです。
そしてキャスト陣もいい。
デンゼル・ワシントンの息子のジョン・デヴィッド・ワシントンの演技は素晴らしかった。
過去作のブラッククランズマンでも良かったが今回は拍車が掛かってよかった。
視覚的、聴覚的、感覚的に満足度の行く作品なのだが、悪い点、もしくは惜しい点もある。
まず大半の方の感想であろう『意味がわからない』『難しい』などのネガティブな部分。
色々あると思うが、大まかに言えば『時間の逆行』に関する事と『目的』『人物相関図』などでしょう。
まずこの作品のアイコン『時間の逆行』の描写と原理。
確かに撃つ前の弾が銃に戻ってくるシーンには突っ込みどころがあるが、この描写と原理に引っかかると、もしかすると最後まで楽しめなくなるかもしれない。
まだ1度しか観てないが、この描写はいわばアイコンでそもそも深く考察するものでもないと思う。科学的、物理的根拠や知識など必要ないという事。
その原理が分かろうが分かるまいが作品自体の話に影響はなく十分楽しめる。
作中に出てきたワード『考えるな感じろ』って奴です。
ノーランもアイデアを描写をするにあたりそれなりの根拠付けをしなきゃならないので、科学的な話になってはしまうが、正直言って観るべきとこはそこじゃないです。
『目的』『相関図』などのストーリーに関する少し意地悪な作りもノーラン作品を知っているならすんなり行けそうですが、あまり知らない人からすれば、確かに意地悪な作りです。
冒頭からのぶっ飛んだテンポスピード。
数分後にはチームまで組んで悪の組織を追う特殊任務を担う事に。
とにかく出てくる人が全員『誰だお前!』状態。ここら辺で置いてけぼりにされる方は多いかもしれません。
他のスパイ映画である様な、今何が起こっているか、何をするのか(目的)、作戦内容など事細かく丁寧に教えてはくれません。
もうその次のステップに映画側から進んじゃってるので、観る側は『想像や憶測』で判断するしか無い。
僕は好きな作風ですが、映画(エンターテインメント)として観るならばもう少し優しく作ってくれてもよかったかな?とは思います。
でもそれ位ですかね?
観ると分かりますがネットで言われる様な難解な事はそうありません。
観ている映像とやっている事が少しややこしい描写なので戸惑いますが、その戸惑い自体がノーランのエンターテインメント性なのだと思います。
それを含め楽しんでよ。って。
難しいこと考えず肩の力を抜いて観ましょう。
もちろん2度目3度目観るとなお良いです。
ニールの事やキャサリン救出など話したい事も沢山あるが、長ったらしくなるので割愛させて頂きます。
必ずスクリーンで観るべき映画
全力でお勧めします。
久しぶりに最高の映画を観た気がします。