「皆で混乱を共有するという映画体験」TENET テネット もへじさんの映画レビュー(感想・評価)
皆で混乱を共有するという映画体験
なるほど確かに、かなり変態的な映画だったように思う。冒頭で「考えるな、感じろ」と釘を打ったことをとりあえずの免罪符として、観客への配慮はさておきノリノリで作っている気配を感じる。特に序盤、5W1Hが殆ど何も分からないままにポンポンと場面が展開するので、ついていくのが非常にしんどい。中盤以降、何をやりたいのか徐々に分かってくるけど、根幹の時間逆行設定(それに付随する呼吸の件とか)を飲み込み切れないのもあり、やっぱり最後までピンと来ない件が多くてしんどい。最終盤のシーンもわちゃわちゃし過ぎてよく分からんので、もっと絵面一発でスゲー!となれる印象的なカットが欲しかったような気がする。時間逆行を映像でやりたかったんだとは思うけど、SFとしてのプロットやギミック自体は実は既視感あるものだったようにも思うので、逆行ではなく単なるタイムトラベルでも同じお話は成立してしまうのでは?と思わなくもない。みんなで混乱を共有するというのも映画体験として面白いので今観るべきではある。物理学徒はすんなり飲み込めるのでしょうか。
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