「ある瞬間を起点に全てを回収していく爽快感」TENET テネット つばささんの映画レビュー(感想・評価)
ある瞬間を起点に全てを回収していく爽快感
86本目
期待値爆上げで遂に公開された、ノーラン監督の時間の逆行を扱ったSFアクション。
前評判通りかなり難解で、途中までは一体どういうことなんだ?という展開が続くが、ある瞬間を起点に「ああそういうことね」と全てを回収していく流れが気持ち良かった。
本当に、時間が戻ると共に疑問点が回収されていく爽快感はなかなか普段感じる事の出来ない感覚だったと思う。
「逆行」と「順行」が入り乱れるアクションも見もので、何がどうなってるのかわからなくなりがちな状態でも「逆行状態はサウンドも逆再生風になる」というトラックの作り方で混乱せずに済むようになっているのがとても良かった。
(相変わらずハンスジマーの大活躍かと思いきや、ブラックパンサーのトラックを手掛けた方でしたね。ワカンダフォーエバー!)
このアクションシーンの中でも特筆すべきは、飛行機内で戦う謎の逆行男=自分と分かる中盤の逆行シーン。
つまり最初に見た順行でのアクションを逆側の視点で見せて「あぁこれは自分だったのか」と観客に理解させるシーンなわけだけど、本当にどっち視点で見ても「相手側が逆行している」ように見える映像とアクションが凄過ぎた。どうやって撮ったんだ?
それにしても今回の「逆行」と「順行」が交差する時間の描き方、「ぼくは明日、昨日の君とデートする」にかなり近い。
ノーランファンからするとそんなもの(失礼)と一緒にするなと怒られてしまうかもしれないが、そう考えるととても分かりやすいし、まだ見ぬ未来から過去へと進んでいくワシントンとニールの関係が、 とても尊いものに感じられてくる。
そんなパティンソン演じるニールがとても良くて、まさしく全てをわかっていて語らない、いや語ることのできない「ぼく明日」の愛美状態(違う)。
まだ見ぬ未来でワシントンとニールが遂に「出会う」時のことを想うとなんとも言えない気持ちになる。
これが「尊い」なのか…。
ニールがダイエットコークを勝手に注文するシーンなんかは、きっとニールが知ってる「未来のワシントン」は少し中年太りでもしてるのだろう。それを気にしてダイエットコークを頼んでいるのかと思うとなんとも可愛らしい。
そんなワシントンのキャラもとても良くて、セイターとワシントンの「どうやって死にたい?」「老衰で」という一連のやり取りにもあるように、どこか飄々とした雰囲気のワシントンがかなり好きだった。
あとはエリザベスデビッキ嬢のスタイルの良さたるやいなや。1人だけ異次元の存在かと思わせるほど。
時間だけじゃなく次元も超越するのか?と思った(思ってない)。
そりゃあ自分のものにならないなら誰のものにもしたくないよね。わかるわかる。
そんな感じでしたね。
今回IMAXレーザーとのタイミングがまったく合わず通常スクリーンで観てしまったけど、ある程度分かった状態で改めてIMAXでの上映に臨めると思えば、逆に正解だったかもしれないな。初回は予習ってか。
確認のためにもう1回行かされる、完全にノーランの策略にハマった!
*2020.9.23 追記
池袋グランドシネマサンシャイン
IMAXレーザーGTにて2回目を鑑賞。
物語の全体像を把握しそれなりに考察してからの再鑑賞は、「一体どうなってるんだ?」という気持ちを排してただ映像にのめり込むことが出来、1回目よりも遥かに楽しめた。
ノーランはつくづく体験型の映画を作るな。
TENET観るなら2回は観ましょう!
なるべくデカいスクリーンで!