「超最新技術×超教えるのが下手な先生×ラ・ジュテ!?」TENET テネット カトソラさんの映画レビュー(感想・評価)
超最新技術×超教えるのが下手な先生×ラ・ジュテ!?
コロナの中、映画業界の救世主状態の期待&話題作、先程IMAXで鑑賞!
まずはよかった所から!
・「逆再生」の新鮮さ
今や「技術の飽和状態」になっているハリウッドの中で、意外と新しい・今まで見たことのない「時間の逆行」。今はスマホ一台で編集できてしまうような「逆再生」という技術をここまで本格的にストーリーの主軸・映画の見どころとして使う、ということは新鮮で面白い!!!
・ひたすら驚愕
「どうやって撮ったのコレ??」と何度も驚かされる逆再生×アクション!ただ戦っている映像を撮って逆再生するだけじゃあもちろんない。『時間に沿っている奴』VS『時間を逆行している奴』、つまり2つの時間の流れの中で生きている2サイドの人々(同じ人物の時もある)の戦いが笑っちゃうぐらいひたすらすごい。特にジャンボジェットのシーンなんてずっとポカーンと口を開けていた…
・脚本
お見事な伏線回収!!空港内の逆行マシーンから出てきたマスク姿の男や、船から飛び降りる女…きっと何回も見直せば見直すほど発見ができ、感心させられるのでは!?今年受験を控えているのでもう見にはいけないが……
続いて悪いところ
・「超教えるのが下手な先生」
タイトルにもある通り、「超教えるのが下手な先生」とはもちろん本作の大監督クリストファー・ノーランのこと。観賞後、かなり難解だったが6〜7割は理解できたと思っていた。そして帰宅し解説を読んだり聞いたり見たり、ひたすら考えた結果、コレ意外と単純な話じゃない??どうしてここまで鑑賞者は混乱してしまうかというと、
【Aを探すためのBを探すためのCを探すためのDを見つける】という無駄に遠回りさせるような仕組みになっているからだとぼくは考える。そして1番大きな要因は「登場人物にバカ・無知キャラ」がいない事。このキャラクターがいることで非常に自然な流れで観客に「時間逆行ルール」を説明できる。今回はそんな簡易的な説明があまりに薄いため置いていかれてしまう人も多いのでは。
・いらないシーン多くない??
今回は上映時間が150分=2時間半あるためそれなりに中だるみも感じる。それは省略できるであろうシーンがすごく多いから!例えばノーラン映画お馴染みのマイケル・ケイン。正直あのシーンいるかな…?何なら「インセプション」の時と同じように銃弾の逆行の説明をしてた女のバーバラの役をマイケル・ケインでよかったんじゃ??まさに知性あふれる博士…的な。さらに言ってしまえば、あんなに世界各国を飛び回る必要性あったかな??
・スッキリさせて!!
これは割と無茶苦茶な、僕の勝手な言い分だけど、ラストにしても音楽にしても決定打がなくない?「インセプション」みたいな壮大なテーマが流れてピタッと終わるような。
鑑賞前からサウンドトラックは何回も聴いた。音楽は今回は「ダークナイト3部作」「インセプション」「インターステラー」「ダンケルク」などのノーランとタッグのハンス・ジマーが担当していないこともある。だけど今回担当の人だって「マンダロリアン」「ヴェノム」などの大作を手がけている人だから、当然わういわけじゃないんだけど…決定的な「テネットのテーマ」が欲しかったなあ。
そして最後の「ラ・ジュテ」。これは1962年のフランス映画で、間違いなく本作のベースになっていると思う。ぜひ見て欲しい!!!