「複雑に見る事なく感じながら見ると」TENET テネット KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
複雑に見る事なく感じながら見ると
期待通りの見応えある作品で非常に興奮する時間だった。
ノーラン作品らしく作品の世界観、ルールといったあたりに細かい説明などはない為あまり深く考えすぎるとストーリー展開に追いつかず残されてしまう恐れがある。
冒頭でポエジーの説明にあったように逆行の世界観を頭で理解しようとするのではなく感じながら慣れていく、これはこの作品を観る際にも言えることのような気がした。
作品内容としては個人的には当初予想していたよりは見やすいかったかなという印象。一度で全てを理解できたかと問われればもちろんそれはできなかった。そもそも何度見ても全てを理解できるのはノーランくらいしかいないのではないか。
全ては理解できない上でも、自分なりの理解や脳内修正はまぁできる展開が多かったように思える。
150分と時間自体は長めだがあっという間に時間は過ぎ、常に何かある裏切る展開があるのではないかという空気を漂わせ時間を感じさせない点は過去の作品と同様さすがといったところだった。
内容としては個人的には意外と予想できた展開が多かったといったところか。特に序盤から中盤までのワシントンとパティンソンに立ちはだかる逆行する者が早い段階で未来から来た彼らというのは読めてしまう。
その彼らが逆行する事で何か深い意味があるのかというとその辺は特になかったのは少し物足りなさは感じた。
加えて悪役のブラナーのキャラクターもイマイチ魅力に欠けてるようにも感じてしまった。
個人的にはストーリー展開よりもこの世界観に没入し観てる側も謎に挑み続けるいわば体験型のような作品であったように思えた。自然とそういう見方をしていた自分にとっては非常に楽しい映画ではあった。
もちろん初見では見落とした部分もあったかもしれない。それらをもちろん補う為にもう一度見たいというのもあるが、それ以上にこの逆行する世界にもう一度没入したいと鑑賞直後にも思わせてくれるそんなクセになりそうな作品であった。