スキンウォーカーのレビュー・感想・評価
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邦題よどうした
「Lifechangr」の原題を持つ本作は、公開時に「スキンウォーカー」と題され、ソフト販売時に「寄生体XXX」というタイトルとなった、まさに題名どうりの作品である。「スピーシーズXX〜」という邦題の付いた、全くそれぞれの作品は別物で、続編でも何でもないなんちゃってシリーズのイメージを持ってしまうが、(恐らくマニアだけだが)もちろんそちらとも関係がない。日本版パッケージの裸体の美女が艶らしい侵略行為をする作品でもない為、場合によっては肩透かしであるだろう。本作の近いところは「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」だろうが、本作に登場するそれは異星人という肩書では無く、「そういう生き方の生命」というだけである。
誕生の秘密、目的、寿命等の情報は省き、一つの生命の営みを淡々と描いているかなり挑戦的な作品だ。この生物は乗っ取った人間の記憶を引き継ぐのだが、一貫してある女性に恋をしているという、なんだかロマンチックな展開を向かえる。どこか寂しさのこもった愛は静かに進んでいく。そんな作品にアホな邦題を付けるのはいかがなものかと思ってしまうが、鑑賞後はそんな気を忘れる位の暗い気持ちになっている。そう、この作品は終始暗いのである。抑揚無く続く主人公のあくせく乗っ取り先を探す様と、ずさんな遺体処理のシーンが続いてしまい、やや眠気が勝ってしまったのが正直なところだ。ザ・インディース映画という感じだが、最後の最後で登場するVFXはSFホラーファンならばニヤッと出来るものだろう。
宿主を次々と変える寄生人間が一人の女性に恋をする
“彼”はエイリアンなのか?次々と宿主を変え、命と記憶を奪われた人間はミイラ化してボロボロになってしまい、やがて自分の体も腐り始めると次の相手を探す。エイリアンものではよくある展開ですが、どうも一味も二味も違った作品でした。
最初に登場するエミリーが、目覚めると隣に腐乱死体が横たわっていて、バラバラに切断して焼却する。さらに自宅に戻ると今度は夫ジェームズを殺す。正確には殺したというより肉体と記憶をもらって相手そっくりに変身するといった感じ。普通のSFやエイリアンと違う点は、一人の女性ジュリアに恋して、姿かたちを変えつつもジュリアに接近するという点。“彼”は幼い頃(50年代)に母親に寄生し、そこから男女問わず、宿主を変え生き続けてきたのだ。
風変わりなSFホラーに加え、鎮痛剤や抗生物質を飲むと腐敗を遅らせることができるものの早く宿主を変えるときにはコカインを摂取するという設定。ジュリアと上手く関係を持ちたいが、彼女はバーでいつも違う人に声をかけられるという認識で、“彼”としては今までの人間の記憶が詰まりすぎて大変・・・
意外な結末だったし、愛する人がいなくなれば長生きしてもしょうがないことを切々と訴えてきてるかのようでした。グロい映像のラストシークエンスに美しい音楽が流れ、奇異な運命には逆らえないという悲しささえも残る。そして、犬だけは“彼”をわかっているようだったし、犬と共に生きていくしかないのかもしれません・・・
アイデンティティの崩壊と再構築
他人の肉体を奪わなければ生きていけない。
そんな生き物の愛と執着、悲しき運命のストーリー。
主人公の見た目が短いスパンで変わり続けるのが新鮮で面白い。
年齢も性別も生き方も全く異なる人間に移り変わっていくのに、一貫して「主人公」に見えるので不思議な感覚になった。
しかし、かなり唐突に物語が進んでいくので、興味を持てないままただひたすらにボーッと観てしまっていた。
哀愁漂うモノローグ的なナレーションは雰囲気たっぷりで良いのに、どうしても「誰がどうなってもどうでもいい」と思ってしまう悲しさ。
このままボケーッと終わるのかなと思いきや、最後の急展開で少し高まることができた。
アイデンティティの崩壊、それまで「こう」と信じていたものが「そう」ではなかった衝撃。
そこからのアイデンティティの再構築はなかなか胸熱じゃない。
そしてアレのビジュアルが最高。
私の好きなモノをそのままドーーンと置いてくれて嬉しい。ドゥルドゥルの肉大好き。
腐った肉体の描写も素敵だった。
身体に空いた穴から白い液体が出てくるとか、爛れたうなじとか、やっぱりキュンとしてしまうじゃない。
嗚呼、メタモルフォーゼ
人のエキス?と記憶をを吸い取り生き長らえる男の話。
若い頃は乗っ取ると数年維持出来ていたけれど、老いのせいか数日で腐敗、更には古い傷や痛みも現れるし、それが始まってから6時間以内に新たなエキスを吸収しなければ…というストーリー。
少なくとも迫り来るモンスターに襲われる恐怖のおはなしではありません。
エキスを吸収すると相手はミイラ化して死亡、自身は相手の記憶を自分のものとすると共に、相手の容姿までコピーする設定。
次々と身に降りかかる危機に対処し、後処理をし、なりすまし、思いいれのある女性に近付いてという流れを繰り返していく。
そんな力を持っているが故の横暴さと、力を持ってしまったが故の哀しさとが入り混じって悪くはないんだけれど、主人公の自分語りでみせていくせいか、イマイチ盛り上がらず、終始淡々とした印象を受けた。
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