「キャラ描写に関しては歴代一と言っても過言ではない。個人的に近年で1番の大満足です。」名探偵コナン 緋色の弾丸 Kouさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラ描写に関しては歴代一と言っても過言ではない。個人的に近年で1番の大満足です。
今作は何よりもキャラ描写が良かった。近年の作品は女性人気に肖りメインキャラのみにスポットを当てる描写が目立っていたように思います。昔からのレギュラーキャラ(少年探偵団、博士、園子、蘭、哀 など)がお粗末に扱われ、ストーリーに上手く絡まないまま終わってしまう作品が目立っていたのが、昔からのファンとして寂しく感じていました…。
しかし、今作では登場人物一人一人にちゃんと役割が与えられていてキャラクターの魅力を最大限に引き出せていました。メインとなった赤井ファミリーの大活躍は勿論、今作でコナンの「相棒」の立ち位置を確立させたと言っても過言ではない灰原哀、蘭と新一のお互いを想い合う描写、前半での少年探偵団(特に元太)の活躍、いつもは赤井に全てを持っていかれてしまうジョディ先生の信念(その他のFBIメンバーもしっかり活躍してしました)、園子の子ども達に見せるお姉ちゃんとしての優しさ、蘭とコナンの事を想う小五郎の父親としてのカッコ良さ、全ての登場人物がちゃんと事件に関わっていて、場所と時間の交差はあるにしても置き去りにされているキャラが1人もいなかったのが非常に良かったです。この辺りの描写は初期のこだま監督作品と肩を並べる、、いやそれ以上の描写であったかもしれません。
赤井さんの活躍が目立たなかったという声もありますが、今作は赤井秀一という男を理解した上であの一発に全てを込めたように思います。私が思うに赤井は全面に出て活躍しFBIをリードするカッコいいキャラというよりは、冷静沈着で無駄な行動•発言を極限まで減らし、いつも一発に全てを込め去っていくような男だと思っています。命中必須の狙撃手として赤井の「一発の力強さ」が上手く引き出せていた見せ方だったと思います。
ミステリー要素が少なかったという声もありました。これに関しては私も思う事はありますが、近年のコナン作品はアクションに振り切っている部分は多く見られるので、ある意味でいつも通りなのでしょう。今作はアクション×サスペンスがメインになっていたように思います。かといって、ゼロの執行人のように硬派な社会派ミステリードラマにしても子どもファンの理解が追いつかず「大人向けコナン」になってしまい、紺青の拳のようにとにかく派手に見せ、アクションに振り切ったエンタメ映画にしても「子ども向けコナン」になってしまいます。2作を否定するわけではありませんが、今作はその間を行くような仕上がりでまさに「大人も子どもも楽しめる」名探偵コナンという作品の魅力が大いに感じられました。また、ミステリー要素が少ないにしても事件を解決していくにあたる演出が過去一凝っていて監督のこだわりを感じました。ハラハラ感やドキドキ感、コナンと一緒に犯人と戦っているような臨場感が非常に伝わってきました。永岡監督には是非今後もコナン作品に携わっていただきたいと思います。個人的に今作は近年で1番の大満足です。