「CIAの悪さ」ザ・レポート mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
CIAの悪さ
実話にもとづいた映画ですが、9.11周辺の出来事に興味がない人には、ストーリーや人物関係がわかりづらいかもしれません。とにかく、スピーディーに淡々と進んでいきますから。自分はドキュメンタリー(米国拷問プログラムの闇)を見て、この映画にたどり着いたので、わかりやすかったです。しかし、細かい点はわからないまま見ても理解はできるようになっています。(どうやら、劇場公開されてない、Prime Video配信作品のようです)
9.11同時多発テロ後にアメリカがアルカイダを潰すために、テロ容疑者たちを収容。そこで、CIAが考案したEIT(強化尋問技法)を実行するが、「尋問」とは名ばかりの「拷問」は秘密裏で行われていた。上院議員のダン(アダム・ドライバー)がその辺りのことを調査してCIAの闇をあばく話。
膨大な資料を一枚一枚、チェックしていくという地味で気の長い仕事。死に物狂いとはこのこと。おおよそ6年もかけて任務に挑む姿を見ていると、その大きな権力に立ち向かう重圧感が伝わってきて見ている方まで疲労感に見舞われます。
先に書いたように、ドキュメンタリー映画を見てすぐに、こちらの映画を見たので、オーバーラップする部分がいっぱいあります。そもそも、そのEITという尋問は効果があればそれでよかったのか!?だいたい、9.11事件後の拡大を抑えるためといえども、テロ容疑者を勝手に収容してもよいのか?!(法律に基づいて逮捕したわけではない)また、後にはビン・ラディン殺害自体にも疑問が沸いてきます。
余談ですが、『米国拷問プログラムの闇/THE FOREVER PRISONER』というドキュメンタリーがU-NEXTで配信されています。U-NEXTにサブスクしている人で興味がある方はこちらもおすすめです。映画のようにCIAを暴くというストーリーではないので決して溜飲が下がるわけではないですが。淡々と恐ろしい事実を映していくという感じです。映画でも出てきた「アブ・ズベイダ」というテロ容疑者を中心に、実際のCIA関係者や心理学者(EITを考案した)などのインタビューが進んでいきます。