劇場公開日 2020年12月25日

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「成長、自立していくジョゼに癒される」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5成長、自立していくジョゼに癒される

2022年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

瑞々しく、若々しく、外連味のない爽やかな作品である。90分という短い上映時間であり、物語に起伏はあるが敢えて深掘りしなかったことが奏功している。原作未読、2003年公開の実写版未見、予備知識ほとんどなしで鑑賞したので、この作品の魅力をストレートに味わうことができた。

幼い頃から車椅子で生活していたジョゼ(清原果耶)は、下り坂で車椅子が暴走したところを偶然通り掛かった大学生の鈴川恒夫(中川大志)に救われる。この事件で二人は出会い、メキシコ留学資金集めのバイトをしていた恒夫は、ジョゼの祖母からジョゼの世話役バイトを依頼される。恒夫はジョゼの毒舌要求に閉口しながらも応えていき、ジョゼを外の世界に連れ出す。ジョゼは徐々に元気になっていき、次第に二人は親密になっていくのだが・・・。

本作は、何と言っても、個性的なジョゼの存在感が圧倒的であり際立っている。毒舌の奥に潜んでいる、自由に一人で行動できない苛立ち、諦め、疎外感など、ジョゼの鬱屈した心情をジョゼ役の清原果耶が瑞々しい感性で表現している。初めて触れる外の世界への素直な感動と何でも知ろうとする無邪気な好奇心が可愛らしい。大人が忘れていたものを思い出させてくれる。

恒夫役の中川大志は、個性的でクセの強いジョゼに戸惑いながら、彼女の魅力に次第に惹かれていく恒夫を現代感覚溢れる大学生として好演している。ジョゼの心を開く案内人的役割を担っている。苦悩する場面もあるが、あっさりしている性格が、ジョゼと好対照で、ジョゼとのバランスが良い。

ジョゼは恒夫に助けられるだけではなく、絵の才能を使って苦境で落ち込んでいた恒夫の心を勇気付ける。コロナ禍で疲弊している我々観客の心も癒してくれる。絵の持つ力が感動を誘う。ジョゼの自立へのプロセスの第一歩として、象徴的な場面である。

本作は、恒夫との恋愛を通して、成長、自立していくジョゼの姿を描いた青春ラブストーリーである。

みかずき
琥珀糖さんのコメント
2022年9月16日

みかずきさん
「ドリーム」と「男はつらいよ おかえり寅さん」に共感そしてコメントありがとうございます。

「ジョゼと虎と魚たち」は実写を観ております。
アニメは、実写より重くなく、
成長、自立していくジョゼに癒される。
ジャケット写真のジョゼの絵をみただけで元気か出てきそうですね。

琥珀糖
talismanさんのコメント
2022年9月11日

ジョゼ、自立!かっこよかったです

talisman