「病み上がりに染み渡った」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) とびこがれさんの映画レビュー(感想・評価)
病み上がりに染み渡った
劇中で登場人物がさらに劇をやるというのは苦手なんですが、今回はそれではじめて泣きました。
ジョゼちゃんは非常に刺々しい態度をしますが、あそこまで極端でも、心を守る防衛機制としては妥当ですね。相手を気遣って、ほんの少しの心の交流も傷つきの種になるという経験則があるのでしょう。身体に障がいがある方の生きざまを改めて考えようと思いました。
気になったのは、ジョゼちゃんが「セミの脱け殻にも届かない」「水玉の傘もさせない」と叫ぶシーン。それは、皆には当たり前にできるのに私にはできないという絶望でしょう。本当はそんなもの目指さなくていいのです。ですが例えば1人だけ肌の色の違う子が「皆と同じ色の肌ならよかったのに」と思う。思わなくていいんですが、そう思うのが人間で、特に子どもなんですよね。自分ならどんな接し方ができるだろう、とばかり考えてました。
病み上がりの働かない頭で観たもんで、細かい仕掛けにはついていけてませんが、心がすっとして前を向けた、この映画は私の力になりました。
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