「綺麗な恋愛映画。高さの描写の巧みさが光る。」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) kouさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗な恋愛映画。高さの描写の巧みさが光る。
Amazonプライムにて視聴。
原作及び実写版は未視聴。
私は常々「登場キャラクターに嘘がないこと」が、良い作品の肝だと思っている。
それは作品の性質上、都合の良いキャラを無理矢理出さない事とも言える。
この作品は、それが非常に少ない。
(読み聞かせの子供の反応くらいかなぁ)
映画評にもある通り、目線の高さによる違いが見事に描かれてている。
それは車椅子生活の辛さであり、健常者から見えない目線であり、無関心の差別でもある。
原作では性的消費にも言及されていたようだが、家族とも見られるように配慮しての事だろう。原作ファンからは文句も言いたくなるだろうが、悩ましいところだ。
映像は流石のボンズ。アクションに定評がある会社だが、京アニやらPAWやらのお家芸とも言える情緒のある描写も上手いのか。
まぁ、車椅子が猛スピードで下っていくシーンは圧倒的に上手かったので、そこも流石。
恋愛映画としての完成度は高いが、日本文学的な感覚に重きを置いて、もう少し深い所まで描いて欲しい気持ちもある。
ただ、やり過ぎるとグロテクスになるだけなので、これくらいの匙加減が良いのかも。
ジョゼの読み聞かせシーンは、今作一番の見どころだ。
このお話が語られただけでも、本作の価値は十二分にあると言える。
ただ、その後のリハビリシーンの挿入歌演出は若干ダサいので、もっと情緒的につくって欲しかったかも。
総合的には非常に丁寧な映画だったかと思う。
ハッピーエンドであり、エンドロール◦Cパートまで楽しめる作りなので、読後感が良いのも素晴らしい。
少なくとも、歩行障害者に対する気付きを与えられるお話であり、見識の狭い人や社会に出る前の中高生には強くオススメしたい良い話だと思った。
※追記
見取り図のリリーさんの吹き替えは若干下手なのですが一言二言程度の出演。ゲスト声優ってこれくらいで良いよなって采配なので、それに関しては問題ないかと。