「じっくり味の染みたキレイな良作」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
じっくり味の染みたキレイな良作
個人的な偏見ですが、関西弁は賑やかで陽気で活発なイメージのある方言だと思ってますが、本作品のソレはあまり関西風味を感じませんでした。そのせいで舞台が関西である必要性に最初疑問を持ったのですが、この作品全体を通して関西弁の方がジョゼのキャラが活きていると感じる結果でした。
ただ関西でダイビングスポットと言うと南紀白浜方面でしょうか? 府内からだと結構距離がありそうですが、そんな引っ掛かりも気にならなくなる程に、お話は面白く展開していきます。
ジョゼと恒夫が冒頭から結末にかけて段々と変化していく内心の描写がとてもうまく表現・演出されていて、画面のレイアウトも工夫の行き届いたビジュアルでキレイでした。お話もナカナカ面白くて丁寧に綴られた印象で、抑揚もシッカリ構成、鑑賞する側の心にも篤く揺さぶる物があり、とても良い作品だと思います。
そんな良作と評価できる中で、些細な事ながら実に惜しい点も。
まずジョゼがヒキコモリになった根拠を“虎”だけでなく、も少し説得できそうな内容が欲しかったのと、後半のエピソード内での件で絶望する双方の描写を、もうちょっと粘り気のある濃い目の作話に(自分のせいで夢を台無しにした罪悪感・自暴自棄と言うか)した方が良かったのかなと? アッサリ立ち直った感がありもうチョッとネットリ感が欲しかったと言うか。ソレ以外はほぼほぼ満足の仕上がりでした。
最後の大団円で、一緒に行かんのかーい!ダイビングせんのかーい!と突っ込みたくもなりましたが、後味スッキリなオチをチャンと用意してあったので、ソレならまぁエェか、と‥‥
さてこの作品の内容も実に“実写”向けかなと思ってましたが、もう20年近く前に実写映画が制作されてた様で。基本二次元愛好者なのでソッチの方は特に興味ありません。。。