「畳の目を数えて、四つ葉のクローバーを10本集めろ!」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
畳の目を数えて、四つ葉のクローバーを10本集めろ!
ダイバーと絵描きの恋愛物語
実写版見て予習なんてするんじゃなかった。
結構気になっていたので期待して鑑賞。
原作小説を読んでいないのでどちらが原作よりなのか分からないけれども、アニメ版はこれでよかったのか?と思った。
貧困、障害、差別、いろんなものがジョゼを縛り、傷つけて形作ったはず。
特におばあの存在は保護者であり牢屋のような存在だった。
そんな閉鎖生活に平凡な恒夫が入ってくる。
平凡な恒夫と皮肉れ者のジョゼ。二人は互いを珍しがり惹かれあい恋に落ちた。
外の世界には虎がいっぱいいて、でも二人なら怖くない。虎なんて目に入らない、お互いに夢中だから。
だけどやっぱり虎はそこら中に居る。
実写版はこんな感じだった。
アニメ版は優しいおばあに見守られ、夢も希望もある恒夫が、絵の才能があってあんまり皮肉れてないジョゼと出会い、あっと言う間に恋に落ちてデートして喧嘩して、互いに支えあう。
なんて綺麗な話なのかしら。
外の世界には虎なんかいないし、実現したい夢、進みたい道も有る。
実写版は綺麗ごとじゃない恋愛だったけどアニメ版は綺麗ごとな恋愛だった。
いや綺麗な恋愛を否定している訳ではないアニメ作品だし、だけどなんとも味気ないというか、現実感とか共感とか少なかった。
アニメのクオリティは文句なし、絵も綺麗だし声優も違和感なし、ストーリーも実写版を見ていなければすんなり心にしみたと思う。
でも実写版を先に見てしまった者としては、不満が残る結果だった。
登場人物いい人ばっかりだったので、江口徳子とか新井浩文ポジションのキャラが出てれば印象が少しは変わったかも。
せめて初対面で包丁振り回すくらいはしてほしかったな。
劇中セリフより
「怖すぎて夢に出てきそうや」
虎のいる世界と虎のいない世界、我々が生きる世界はどちらだろうか。