「エンドロールこそこの作品の良さの“見取り図”だ!」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
エンドロールこそこの作品の良さの“見取り図”だ!
清原果耶ちゃんのファンだからという理由だけで、前情報もあまりいれず見てきました。
この作品は簡単に言うと、清原果耶ちゃん演じるヒロインの『ジョゼと虎と魚たち』という紙芝居を書き上げるに至った心情変化を、アニメでしか表現できないリアリティーラインギリギリのシーンと、アニメでしか表現できない映像の美し方で丁寧に語る物語だったと思いました。
結構女性のキャラクターには共感できないところがたくさんあって。ヒロインがあまりにも感情に振り回された行動を取るところとか、主人公と同じバイト先の女の子が、「あなた(主人公)の想いを全部受け止めるから」と言ったかと思えば自分本位の行動を取りヒロインに宣戦布告に行く件とか、見ていてしんどかったです。
主人公も基本的にはそうした行動に対して無条件の肯定から入ってるところを見ると、自分の器が小さいという可能性のほうが濃厚ですね。
それでも、主人公とヒロインの関係性が深まっていく様や、ヒロインの毎日抱える心情をとある出来事をきっかけに知って喜びつつ絶望する葛藤の様、そこから立ち直るきっかけを与える出来事まで、非常に見事だったと思います。
また、今年公開された「37セカンズ」でもありましたが、カメラを下から上に撮る目線が多いのも印象的でした。車椅子から見える景色はこうなっているんだと分かりやすく演出されていたと思います。
また、私は大阪に住んでいるんですが関西弁が非常にナチュラルだと思いました。清原果耶ちゃんは大阪府出身なのですが、方言指導が上手くいっていました。見取り図の二人は見取り図の二人でしたが(笑)
圧巻はエンドロールです。Eveの曲に合わせて、登場人物が会話をしているのですが、どんな会話をしているのかはわからない演出が、見る側の想像力をかき立て、余韻に浸らせてくれます。最高でした。
この作品では“虎=怖いものの象徴”なのですが、関西で一番怖いのはタイガースファンというオチじゃなくて良かったです(笑)