劇場公開日 2020年12月25日

  • 予告編を見る

「アニメらしい伸び伸びとした世界観と救いある展開、清原果耶は声まで群を抜く」ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版) かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アニメらしい伸び伸びとした世界観と救いある展開、清原果耶は声まで群を抜く

2020年11月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

原作、実写ともに未観。比較対象がないこともあってか、純粋に世界観に没入できた。文学的になってしまいそうな部分も、アニメだからこそ出来る美しさと優しさで包み、柔らかくて暖かい作品に仕上がっていた。
恒夫が出会ったのは、車椅子でしか移動の出来ないジョゼ。家という名の要塞から出たときに見る、初めての景色たち。美しくて眩しい眼差しと純心たる表情に早くも心に染みる。未だ知らぬ世界が開いたときに観る衝動と感動を隠せないジョゼに、羨ましささえ覚えた。そして、次第に近づいていく二人の終わりと、不吉な足音…。ジョゼを演じた清原果耶の優しい声と癖のある捨て台詞が合っていて、19歳とは思えない表現力は声にまで息づいているのかと驚かされた。中川大志は等身大の大学生らしさを感じられ、その普遍さがプラスになっていた。美しい街並みと会話の節々にあるささやかな会話も、暗い展開に落ちていく中でも救いとなって光を差す。そこから感じる、多幸感と二人の轍の続き。特に、エンドロールに映ったジョゼと、壊されてゆく家が、忘れることは出来ないほど印象的だった。その理由は、劇場で。
邦画として人気のある作品を、アニメとして再び作った挑戦に賛辞を送りたい。その意義が、美しい空気で満たされたアニメーションから伝わってくる。ハンカチは、忘れずに。笑

たいよーさん。