劇場公開日 2020年10月9日

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「差を認めれるかどうかの問題だと感じた」星の子 mrkc7さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0差を認めれるかどうかの問題だと感じた

2021年3月17日
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怖い

知的

難しい

●感想の前提(私について)
私の家は浄土真宗を信仰している。つまりゆる〜い仏教徒であり、他の宗教に寛容である。小学生の時に母が知り合いの付き合いで一時、エホバの証人の教えを受け、同時に私も受けた経験がある。が、母はその教えに納得が行かず、自分や家族をエホバの証人から遠ざけた。物の良し悪しの判断がつかない頃だったのでその判断には感謝している。更にエホバの証人に触れる経験についても感謝している。大人になり宗教に興味が湧き、特定の宗教ではなく広く宗教という物について勉強をした経験がある。その結果、浄土真宗をゆるく信仰する事にもなった。

●演技について(軽いとこから)
芦田愛菜の演技が素晴らしい。自然であるし受け入れやすい。反面、教師から叱責されるシーンの演技は、言葉やオーバーな表現無しに見事に内面を現したと思います。

●描かれた「宗教」という物について
素晴らしく現実に近いものを感じた。信者は皆、善良で疑いを持たないのが、私の新興宗教に対するイメージである。仕事でエホバの証人のイベントに触れた事があるが、その印象にすごく近かった。

●テーマについて(宗教についての解釈)
宗教を描くというのはかなり繊細な心配りが必要だと思う。私の実家の近所の商店街にオウム真理教信者が住んでいた経験があるので奇行など思い当たるため、飲み込めた。
オウム真理教については、まともな宗教ではなく、カルトであり犯罪集団であるとくくり、他の新興宗教と同じではない事を前提として続ける。
私は宗教とは限られた人の中での精神維持装置であると考える。金を払ってそれが得られるのであれば、金を払う事が徳を積む事ならば、信者にとって裕福かどうかを超える価値を持つのだ。既存・新興問わず、現にそれにより救われた人も多い。

●テーマについて(私が感じた裏テーマ)
題材として宗教を取り上げているが私が感じたテーマは、自分と他人との間にある超えられない差である。LGBTなんかと近い価値観の違いでは解決できない差を宗教を題材に表現したのではないかと感じた。結局、家族は一度救われた経験からその宗教から離れられない。それは、この家族にとっては当然のことで踏み込んだり否定したり出来ないことなのだと思う。

●まとめ
他に差別されている価値観やその人のたちの特徴だって同じ事だ。歴然とした差はある。それはそういう物だと理解して、認め合わなければいけないのだという示唆を私は感じた。
良い着眼の良い映画だった。

mrkc7