劇場公開日 2020年10月9日

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「洞察力が試される」星の子 ロンロンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0洞察力が試される

2020年12月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

知的

観ているうち芦田愛菜さん演じる主人公ちひろの他に色々な立場の人に感情移入してしまう。それは違うだろと思いつつ、いやそうことじゃないと焦ったり言い訳したい気持ちになったりと場面毎に物事の正邪を判断する気持ちがこちらまで揺らぐ。つまり傍観者である鑑賞者自身が傍観者のままではいられなくなり結局、正邪や善悪など二律背反する狭間に信じるべき基準が自分事として揺らいでしまう。ちひろの苦悩を感じつつ誰の味方をするでもなく出演者それぞれになったような錯覚に陥る不思議な作品だ。本作を観て感じる事は世間の通念も客観的に見ると立場によっては間違いになるという危険性があり、それによって誰かを傷つけてしまう事もあり得るという事だ。この作品と同様のことが自分の近くで起きた場合にどのような立場にあるかで真理は変化するのだろう。
奇異の目で見られる世間と家族との狭間にあって、その両方とどう向き合って行くのかを少しだけ大人に近づいた、ちひろには見上げる星空がどう映っているのか?
久々に原作を読んでみたいと思った良い作品でした。

元々、監督はじめ大好きな俳優さんが大勢出演する作品という理由で鑑賞したのですが改めて大森立嗣監督の感性が私の好みにピッタリだと気づきました。キャスティングも最高で皆さんのハマりようは見事でした。それにしても芦田愛菜さんのブランド価値はやっぱり本物。女優活動と学業の両方で並外れた才能を持つのだから天才性が今後もどこまで伸びるかが、とても楽しみです。

ロンロン