「1番の見どころは芦田愛菜だよ!←似てねー」星の子 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
1番の見どころは芦田愛菜だよ!←似てねー
2020年映画館鑑賞107作品目
原作未読
芦田愛菜主演
芦田が演じるちーちゃんが赤ちゃんのとき湿疹が治らず親が藁をも掴む思いで新興宗教が販売している怪しい水「金星の水」を使い奇跡的に完治した結果その水にハマってしまう両親と次女の話
病は気から鰯の頭も信心から
新興宗教を扱っているがそれほど暗い映画ではない
社会派ドラマというよりコメディー色が強い
その点では『獣道』と同じジャンルかもしれないがまるで違う
小五と中三の時代が行ったり来たりする構成は好きじゃない
数学ほど嫌いじゃないが順番通りにしてくれると脳に優しい
芦田愛菜ただものではない
存在感が違う
南先生に両親をディスられたときとホームルームで叱られたときの演技が素晴らしい
今回の作品に限ったことじゃないがツッコミを入れるときの岡田将生も素晴らしい
両親が緑のジャージを着て金星の水を垂らしたタオルを頭の上に乗せている状況が面白い
特にお母さん役の原田知世
永瀬正敏が珍妙なことをするのには見慣れているからそうでもない
帰りの車内でその両親を観た南先生がコテンパンにディスるわけだがそこも面白い
憧れの先生に愛する両親をボロクソに言われる悲しみは計り知れない
ユーモアとペーソスが最高
ホームルームでも南先生に叱られ泣いているちーちゃんと慰めるなべちゃんと割って入る新村くんのやりとりも面白い
母の兄であるおじさんとその家族はちーちゃんの金星の水と新興宗教にハマるちーちゃんの両親に対してとても否定的だ
高校進学をきっかけにちーちゃんを預かりたいと思っているくらい
それでもちーちゃんは姉のまーちゃんと違って決して両親に愛想を尽かして見捨てたりはせず現状維持の関係を続ける決心
本人は信仰心が一応あるようだが両親ほどではない
だけどそこに愛がある
気持ちはわかるけど身内とはいえ大きなお世話なんだよね
きょうだいは他人の始まりであってお互い家庭を持ったら深入りするべきじゃないんだよ
こんなこと書けば失礼だし語弊があるがちーちゃんは中学生になってグレードアップしているがなべちゃんは逆に劣化している
ハーフ美少女から吉田沙保里っぽくなっている
『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングの現在に比べたらたいしたことないけど
僕は少女性愛じゃないしむしろ熟女好きだがなんか残念な思いがあった
中3時代のなべちゃんを演じたコもそれなりに良かったけどね
新興宗教の教祖らしき人は出てこない
高良健吾が演じた海路さんは中心的人物だけどよくわからない
何度聞いてもカエラに聞こえたが海路だった
海路さんのカノジョなのか昇子役の黒木華の演技力が凄すぎて怖い
何も大声で喚き散らすわけじゃなく常に静かなトーンで穏やかに喋るのだがその内部は狂気に満ちている
顔つきが尋常ではない
黒木華もただものではない
いろんなことができるとても器用な人だが今回は1番びっくりした
褒め言葉のボキャブラリーが貧困なので多くは語れないが素晴らしいことは間違いない
貫地谷しほりや蒼井優も凄いが黒木華は世界一の女優と言っても過言ではない
最後のシーンはそれで終わりかよって感じがした
なんか物足りない思い
姉であるまーちゃん役は新進気鋭の若手女優蒔田彩珠
親離れした姉が男と出会い母になるその件もしっかり描いてほしかった
それをあえてカットした大森監督の意図も分からなくはないが全く好みじゃない