「「信じるとは?」。タブーに近い宗教が題材だからこそ、逆に面白さも醸し出されている興味深い作品」星の子 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
「信じるとは?」。タブーに近い宗教が題材だからこそ、逆に面白さも醸し出されている興味深い作品
まず本作は単純に「面白かった」です。
笑いをとりにいっているシーンはほぼ無いのですが、新興宗教ならではの不可思議な言動を真面目に永瀬正敏や原田知世らが演じていて、その人間模様などを興味深く見入ってしまいました。
そして、芦田愛菜が演じる15歳の「ちひろ」も謎の水のペットボトルを学校に持ち込んでいるのですが、それを周りが自然と受け入れている状況が既にできています。そのため、殺伐とした人間関係を見せられるシーンも少なくなっていて、それが本作の面白さにつながっていると思います。
宗教関連はナーバスにならざるを得ず、かなり映画の中では扱いづらい題材です。
例えば、「針が止まっている時計でさえ、1日2回は必ず正確な時間を指し示す」ことと同じように、「偶然」は常に起こります。
ただ、それを「偶然」と捉えるのか「奇跡」と捉えるのかは、その人次第で、その解釈を変えることは、なかなか困難なものです。
本作でも、どんどん貧しくなっていく主人公の家族を見かねて、親族が、誰でも気付ける「矛盾」を示したりしますが、親の思考は如何とも変えにくかったりします。
そんな時、柔軟な思考を持ち合わせる子供はどう判断するのか、が本作の「興味深さ」だと思います。まさに「信じるとはどういうことか?」という問いかけに主人公がぶつかることになります。
この「信じるとは?」という問いかけは意外と深いのです。
主人公の「ちひろ」は、いろんな「矛盾」に気付ける柔軟な思考を持ち合わせています。
では、最終的に「ちひろ」はどう判断したのか。「信じるとは?」という問いかけの根源的な意味と共に考えてみる価値はあると思います。
ちなみに、本作でよく出てくる「エドワード・ファーロング」という名前は、名作「ターミネーター2」のジョン・コナー役の少年の役者のことです。