「独特の浮遊感を持つくすぐったい感じが懐かしい令和版『パンツの穴』」どうにかなる日々 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
独特の浮遊感を持つくすぐったい感じが懐かしい令和版『パンツの穴』
高校時代に同性からモテモテだった百合の元カノえっちゃんの元に百合から結婚披露宴の招待状が届く。気軽に出席したものの思わず動揺してしまったトイレで号泣してしまったえっちゃんはその様子を別の女性に聞かれてしまう。それは短大時代の百合の元カノあやさんだった・・・からの『えっちゃんとあやさん』、フラッと職員室にやってきた卒業生矢ヶ崎に突然告白された男子校の教師澤の葛藤と覚醒を描く『澤先生と矢ヶ崎くん』、幼馴染の小学生みかちゃんと放課後勉強しているしんちゃんがワケありの同居人で従姉の小夜子に翻弄される『しんちゃんと小夜子』、そして高2になってもまだ一進一退を繰り返すみかちゃんとしんちゃんの微妙な距離感を見つめる『みかちゃんとしんちゃん』。
LGBTQにまつわる悲喜交々の上をフワフワと漂う雲のような独特な浮遊感に貫かれた作品。PG12という微妙なレーティングが施されているので、小学生には説明が難しいセリフと素っ頓狂なまでにストレートな描写がてんこ盛り。4つ合わせても60分ほどの短い作品なので大人はほぼ終始ニヤニヤしながら観れます。このくすぐったい感じが懐かしいなと思ったんですが、これは高校時代に『パンツの穴』を観た時の感覚に似ていました。男子がみんな片っ端からバカな世界に対する憧憬と当時の自分が抱えていたルサンチマンの記憶が混じり合った香りが鼻腔の奥をくすぐってくるような感じ。何度でも繰り返し観たくなる愛おしい作品です。
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