劇場公開日 2020年3月13日

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「大衆受けに自然とシフトしていっている印象」ジョン・F・ドノヴァンの死と生 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大衆受けに自然とシフトしていっている印象

2020年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ドラン節は健在しつつも、以前のMVような冗長なシーンや、何か含みのあるシーンは減っているように思う。(そこが良さでもあったのだが、眠くなるのが欠点)
それがよく表れているのが"スタンドバイミー"のシーンだと思う。誰もが知る音楽を使って、分かりやすいストーリーを描いている。
やはりドラン作品の肝は母子愛だった。
今回の作品はいつも以上にそれが伝わってきて、感情移入しやすく、心に響いた。言ってみれば、今までの作品は、そこか近づきがたい印象があった。どうも介入できない域を感じた。本作は距離がずっと近い。
おそらく、今までのドランを俯瞰してみる子供からの視点があるからだろう。
いわゆるドラン的作風と大衆的作風が交互に入り乱れることで、より理解しやすう出来ているのだろう。
そしてどちらもそれぞれの母子愛を築いて、映画は終わる。
スーザンサランドン演ずる母親よ。なんてリアルなの。実家帰った時のあの恐ろしく嫌な雰囲気を体現しておられましたな。
なんでドラン映画の主人公たちはみんな若くして死ぬんだろうね。

キャストも良かったですなあ。
ナタリーポートマンもハマり役でしたな。
キットハリントンも本当に実在したんじゃないかと思えるような、演じ方でしたな。
そして、ジェイコブトレンブレン。すごいのひとこと。TVの前で興奮して騒ぎ倒したと思ったら、どこにも吐き出せない感情を必死で母親にぶつけたりする。もうこちらも本当にこういう子供がどこかにいそうだっていう雰囲気。
キャシーベイツもあの出演だけでだいぶ印象に残る演技をしていましたなあ。

JYARI