「女性たちが存分に活躍するアクション映画」ブラック・ウィドウ 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
女性たちが存分に活躍するアクション映画
スカーレット・ヨハンソンは2012年日本公開の「We bought a Zoo」(邦題「幸せへのキセキ」)でマット・デイモン演じる主人公の相手役を演じていて、女のたくましさと優しさを存分に表現していた。その後は「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」といった変わり種の映画や、ちょっとイマイチの興収だった「ルーシー」などを経て、アベンジャーズのブラック・ウィドウというはまり役を得た。
しかしこれまでのブラック・ウィドウはそれほど特徴のない戦闘員のひとりで、折角のスカーレット・ヨハンソンの演技力をあまり活かせていなかった。アベンジャーズの主人公は大体ロバート・ダウニーJrのアイアンマンで、ブラック・ウィドウは脇役だったからやむを得ない部分もあった。
本作品ではブラック・ウィドウが漸く日の目を見た感じで、単なる冷酷な殺し屋ではないことが解る。ちょっとホッとした。そして意外に戦略家でもある。なかなか逞しい。
戦闘があまりシビアでなく、笑えるシーンもちらほらあるから、本作品はアクションコメディの部門に入ると思う。スカーレット・ヨハンソンはまたひとつ演技の幅を広げた訳だ。
妹役のフローレンス・ピューは映画「レディ・マクベス」では、自分の欲望に忠実な恐ろしい主人公を迫力満点に演じていて、本作品でも存在感十分だった。
ストーリーはスパイ映画みたいに舞台を世界中に転々としながら進み、大団円にはほぼ女性ばかりのシーンがあって、略取された女性たちをブラック・ウィドウに仕立て上げた計画が水泡に帰した瞬間をうまく表現する。女性たちが存分に活躍するアクション映画は、とても爽快であった。
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