「ID4の監督による"真面目な"戦争映画」ミッドウェイ ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
ID4の監督による"真面目な"戦争映画
ローランド・エメリッヒといったら我々世代にとってはやはりID4のインパクトが強い。
が、近年はその続編リサージェンスも大失敗に終わり、もはや破壊王も時代遅れの産物になったかと思われた。
そんな監督の最新作がWW2モノだというから、またトンデモアクション映画かと身構えていた。
が、実際に見てみるとこれが意外にもマジメに戦争映画をやっているのだ。
日米双方の内情を丁寧に描こうとする姿勢はフェアで、安易にアメリカバンザイ映画にしていないのは意外だった。加えて、日本人キャストをしっかり用意しているあたりにも努力が垣間見える。
勧善懲悪で爆発てんこ盛りのディザスター映画を作ってきたエメリッヒ監督だが、ここに来て大きなシフトチェンジに出たという印象だ。
そしてその決断は間違っていないように感じた。今後更に脚本が洗練されていけば良作にも繋がるような、そんな期待も持てた。
と、ここまでは良かった点を述べたが。
実際のところ面白かったか?と聞かれればそうでもなく。正直パッとしない戦争映画になってしまっていたというのも確かだ。
加えて、リアルなドラマを史実に基づいて描こうとしている割にアクションシーンは大味なので。ここもリアリティを損ねていてアンバランスに感じた。
監督の持ち味であるド派手なアクションと、史実に基づいたリアル調のドラマが互いに足枷になっている印象だ。故になんとも掴みどころのない中途半端さがある。
何に軸足を置いて映画を作るかによって、アクションパートの演出もコントロールできたら更にバランスが良くなるのではないだろうか?
そんな事を感じずにはいられなかった。
結局のところ、エメリッヒ作品のベストは今でもID4なのだ。あれくらいのバカ映画だからこそ、大味のド派手なアクションが映えるのだろう。