「美しい戦闘。」ミッドウェイ ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい戦闘。
戦闘シーンがとにかく恐ろしくそして美しい。真珠湾での日本の瞬間的な大勝利と、ミッドウェイでの3日間にわたる激戦の末のアメリカの大勝利、戦闘シーンにそのエッセンスが詰まっているためすべてが夢のように美しく感じられる。ミッドウェー海戦は、真珠湾攻撃以来優勢だった日本がアメリカに大敗北を喫して、一気に戦況が逆転した戦闘として知られる。アメリカ側としては、真珠湾の復讐を果たしたものとして捉えることができるし、日本側としては、緒戦の勝利に驕って、諜報で裏をかかれ準備不足のまま突入して負けるべくして負けたものと見ることができる。確かにアメリカ側の復讐心は感ずることができるが強調されてはいない。それよりも、ベスト隊長に象徴されるような戦士の勇敢さだけが際立つ。対して日本も無謀な戦争をしている愚かさはスクリーンからは感じられない。空母と運命を共にする司令官に代表されるように、戦闘にすべてを捧げている人々として好意的に描かれている。
正義の味方が悪者をやっつける構図だと分かりやすいし見た後もすっきりする。しかしこの作品は敵も味方もあまり関係なく描かれている。皆、素晴らしいし、皆、愚かだ。ミッドウェー海戦がなぜこんなに一方的な戦闘になったのか、この映画を見ただけでは分からない。しかし、戦争を敵味方関係なく眺めると、こんなに愚かで、人と物の無駄遣いもないと実感する。戦闘シーンがあまりに美しいだけに、その思いは一層強くなる。
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