劇場公開日 2020年9月11日

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「黒板の”MIA”(Missing in action)の羅列が悲しい」ミッドウェイ あっきーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5黒板の”MIA”(Missing in action)の羅列が悲しい

2020年9月14日
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鑑賞方法:映画館

冒頭の奇襲シーンでマイケル某監督の既視感に不安が募ったが、心配していたよりずっと真面目に作られていた。題材が題材だけに数多くのツッコミは避けられないが(日本軍の参謀が皆インターンシップ中の学生みたいとか)それでも史実に忠実かつ英雄譚としてもしっかり作り込んであった。むしろ開戦後のトピックスを淡々となぞっていくので昔戦記物に夢中になった世代じゃないと展開について来れるのかなあと心配になったくらい。
戦争映画は迫力あるシーンにどうしても血沸き肉躍ってしまう男の子の心情と、悲劇を繰り返してはいけないという大人の心がぶつかってジレンマになりがちだが、この映画はその心配無し。エメリッヒ描く戦闘シーンが迫力を通り過ぎて恐怖心しか湧き起こさない。あんなリベットだらけのガラクタ(いや当時はハイテク機なんだろうがそう見える)で何千メートルも急降下したり、零戦に追尾されながら魚雷発射まで水平飛行したりと、ブラック企業なんてレベルでは無い。本当にこの時代に生まれ合わせなくて良かった。特に目を背けたくなるのは大活躍のドーントレスの陰で人柱になったデバステーターだ。戦闘機の護衛も無く、Go!と言った途端に殆どが撃墜される。これは実質特攻と変わらないのでは。米軍が人命重視と謳っていたのはあくまで後に余裕ができてからで、この頃は下手したら日本よりずっと命を消耗品扱いしていたように見える。(確かパイロットの戦死は米軍の方が多かったのでは)
日本でも歴史に埋もれる前にこういう純粋に日米両軍が相見えた映画をとって欲しいものだ。今のアニメの技術とストーリー構成で十分良いものが作れると思うがなあ。(「決断!」になっちゃうか)

あっきゃん