「ひとりっ子政策について私は何も知らなかった」一人っ子の国 伊藤と言えば潤二さんの映画レビュー(感想・評価)
ひとりっ子政策について私は何も知らなかった
本作は、中国のひとりっ子政策が恐ろしい事実と共に、自分の国の政治についても考えさせられる名作でした。
「ひとりっ子政策」という言葉は耳にしたことがあるし、なんとなく一家族に子どもは1人までっていうルールくらいにしか認識してなかった。
インタビューを受けるのはひとりっ子政策に翻弄されてきた人々。
辛い過去に蓋をした監督の親戚
役人の言いなりになるしかなかった村長
政策が絶対正しいと信じる委員会のおばさん
罪滅ぼしをする助産師
逮捕された斡旋業者
消えた赤ちゃんを追う人々と、消えた赤ちゃんの家族
人生をめちゃくちゃにされた人々の話を聞いていく中で、「ひとりっ子政策」がどれだけ中国の人々の心に闇を落とし、そして行政と戦う闘争心を剥いでいったことがひしひしと伝わってきた。
途中、多くの人が口にする「仕方がなかった」という言葉が虚しい。
ひとりっ子政策の残酷さを痛感すると同時に、中国政府に抱く恐怖の念。ウイグル自治区の件もそうだが、政府にとって人の命は軽い。
また、これはどの国のどんな人にも言えることだけど、「国を信じるということは、政府や党を信じること」が如何に危険かというとこも語ってる。
民主主義の国であっても、体制側の言うことを鵜呑みにしているうちに、「仕方がなかった」では済まない事態が訪れる。
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