「不思議なおかしさが、やがて胸を打つ」子供はわかってあげない 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
不思議なおかしさが、やがて胸を打つ
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冒頭、主人公の女子高生が好きなアニメーションから始まり、沖田修一監督の前作「おらおらでひとりいぐも」の冒頭のアニメ同様に、これから始まる物語展開の布石を打ってきてニヤリとさせられます。ここから全編を通して、どこか不思議なおかしさが続いていきます。
それは上白石萌歌演じる高校2年生、水泳部員の美波が、真面目に、真剣になればなるほど笑ってしまうという性質ともつながってくるのです。普通であればシリアスで「ワケあり」な状況や事情のはずなのですが、本作には飄々とした“肯定のまなざし”が通底していて、辛いことも優しく受け止め、ユーモアあふれるあたたかさで描かれていきます。それは原作のまなざしに、沖田監督の人間やこの世界への独特なまなざしがプラスされているからなのでしょう。
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