「たまにはいいか」子供はわかってあげない U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
たまにはいいか
なんじゃこりゃ?
結構センセーショナルなシュチュエーションなのだが、何も起こらない。至って平和に物語は進んでいく。
提示された設定を元に、予想する出来事はただの一つも起こらない。
この場合、観客である俺は大人なわけで…。
大人の思惑通りに動かない=「子供はわかってあげない」ってタイトルなのだろうか?
いやでも「あげない」って言うからには理解はしてる前提だ。理解はしつつも実行しないって事だわな。
そんな事を思うと、劇中の「美波」はどんだけ意地を張ってたのだろうかと想像してしまう。
友達に電話して「面白いから泊まってく」という言葉すら、程の良い嘘なのかもしれない。
本心では「父親と話したい」とか「父を知りたい」とかなのかもしれない。
とはいえ、そんな大人の思惑を予想しつつも、子供はわかってあげないのかもしれない。
タイトルに惹かれて観に来たものの、よく分からないタイトルだった。
ただ、役者陣の演技は素晴らしくて、上白石さんの瑞々しさったらない。
結構な長回しも多かったので、飽きるくらいのテストの上の産物なのかなぁとも思う。
この長回しは日常感を出すには非常に効果的だとは思うのだけれど、いかんせんダルい。
歯切れが悪いとでもいおうか…これで138分とかの尺になるならガンガン切れよとも思うのだ。
なのだが、俺の思惑も監督は分かってあげないのだ。
別に意義も意味もなくてもいいじゃないか。むしろ、その意味の無さにこそ意味があるのだよ。なんて事も考えてみたりする。
考えてみれば、何かにつけ追われてるとか「時間を無駄にするな」とか思いながら過ごす毎日だ。
意味のない時間は無駄、そんな思考に囚われてるとも言えなくはない。それを映画にもどっかて転嫁してしまってるのではなかろうか?
そんな事が「たまにはいいか」ってタイトルになる。
正直、退屈な作品だった。
劇的な事は表立っては何も起こらない。
監督の思惑さえも、俺には分からない。
ただ、「怒らないから言ってごらん」と言われた後の美波の涙。
あんな綺麗で切ない涙を、俺は今まで見た事はなかった。
刺さる人には刺さる作品なのだと思う。