「心の距離を埋めるコンクリート」子供はわかってあげない サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
心の距離を埋めるコンクリート
沖田修一監督最新作。監督の前作にあたる「おらおらでひとりいぐも」が退屈な雰囲気で、「南極料理人」は好きだったものの蛇足が凄いというイメージが付いてしまったので、今作もそうかもしれないという予想であまり期待はせず。
めちゃくちゃ良かった〜!!
始まってすぐは「やばい、ハズレを引いたかも...」と思ったけど見れば見るほど面白くなっていき、たまらなく愛おしい映画でした!
水泳部の朔田美波(上白石萌歌)は、書道部の門司昭平と好きなアニメをきっかけに仲良くなる。そしていつしか、3歳の時に離れた美波の実の父を探す旅へと進展していくのであった。
最初の30分はすごく退屈でつまらなかった。
なんかイマイチ入り込めなくて、置いてかれてる感がありノリが上手く掴めず楽しくなかった。このままこの雰囲気が続くなら★2.5かなと思っていたけど...
門司くんの兄を演じた千葉雄大が登場したあたりから少しずつ面白くなっていき、美波の実の父を演じた豊川悦司が登場した頃にはもうたまらなく面白くなっていた。この映画、追い上げが凄い!!
つまらないと思っていた最初の30分でも「こてこ」のエンディングダンスを躍る古舘寛治は面白かったし、"な"の癖が強すぎる水泳部の顧問もなかなか面白かった。
30分が過ぎるとそんな笑いがずっと隙間なく続くように。千葉雄大がおかま役を演じることに違和感なし!タバコを吸っている姿も様になっていて、抱きついたり日傘飛ばしたりするシーンはめっちゃ笑えました笑
豊川悦司は爆発的に面白く、無言の空間や必死に距離を近づけようとするシーンとか愛おしくて本当に良かった。再婚したお父さんもめっちゃいい人だけど、実の父親もめっちゃいい人じゃん。人は中まで見ないとわかんないね。
他にも真面目な空間に笑っちゃったり、水泳を教えたり腹抱えるほど笑えるシーンは山ほどあるのだけど、最後20分は非常に感動するシーンばかりでグッときて素晴らしい余韻をもたらせてくれた。真夏の青空が広がる中、屋上でってもう最高すぎんか。ベタだけど、今の世の中では味わえない夏を感じられて本当に楽しかった。
少し取っ付き難い映画のように見えるが、中はめちゃくちゃ面白い夏の青春映画。クレヨンしんちゃんと共に今周りに進めたい1本だった。