「沖田監督ならでは独特の空気感が秀逸」子供はわかってあげない 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
沖田監督ならでは独特の空気感が秀逸
いつも独特の温もりと緩急自在の笑いと、心がスッと澄みわたる特別な時間を創り出す沖田修一。彼が手がけると何もかもが沖田カラーに染まっていく。本作もまさかアニメーションで始まるとは思わなかったが、そこから時間をかけてじっくり捉えていくリビングの風景が実に素晴らしい。こんな覚悟の要るアプローチを飄々とやってのけるのが沖田監督らしいところ。上白石や細田のイメージも無理に原作に寄せるのではなく、むしろ彼らの持ち味を大切にしたキャラクターが生き生きと青春を謳歌していて、隅から隅まで好感が持てる。脇を固める名優陣も独特の沖田ワールドを力まず、泳ぐように生きている。この間合い、この呼吸。どこまでも心地よく、クスクス笑わされたかと思えば、ふと涙してる自分に気づかされたりもして、これまた新鮮。ちなみに原作漫画では別の角度からの味わい(もじくんのお兄さんの名探偵ぶりなど)が楽しめたりするので、こちらもお薦めだ。
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