劇場公開日 2021年2月11日

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「直木賞受賞の原作への疑念のままの鑑賞の結果…」ファーストラヴ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0直木賞受賞の原作への疑念のままの鑑賞の結果…

2024年3月9日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

直木賞受賞作ということでの原作を読んだ縁
があり、TV放映を機に鑑賞した。
正直なところ、原作の読後感では
直木賞受賞作とは評価し難い内容だったので
不安な鑑賞ではあった。

俳優陣の好演もあり、基本的には
良く出来ている映画のようには感じた。
この作品が語りたいのは、
親の在り方が成長期の子供に与える影響の
観点や、他人への思い遣りなのだろう。

しかし、何かがそれに対するこの作品からの
享受を阻んでいる。

父親のデッサン会での少女と全裸男性の
組み合せという異質な設定。
確かに、2人の女主人公の少女期の
父親からの耐え難い経験と母親からの
駄目押し的な対応も背景にあるが、
オーバーラップさせて扱うには
異なる質のトラウマに感じること。
どんな事情があったとしても、
感情の起伏が激しい人物だったとしても、
取り調べの段階で、
少女に事故だったとの弁明の発言が
一切なかったことへの違和感。
等々、
話の骨子に無理があり過ぎるような印象が
この物語へはある。

多分に、この映画の出来不出来以前に
その原因が、
ほぼほぼ原作通りに描いた結果、
直木賞受賞小説が原作という前提で
ありながらも、私には納得出来なかった
この作品への質への疑念が、
北川景子、芳根京子、木村佳乃の女優陣の
熱演にも関わらず、
キネマ旬報ベストテンでも
全く評価されなかった一因のようにも
感じてしまったのだが。

KENZO一級建築士事務所