「裏があるかと思いきや」ファーストラヴ alphaさんの映画レビュー(感想・評価)
裏があるかと思いきや
物語はサスペンス調で描かれる、男性不信の女性達のヒューマンドラマ。
原作未読の為、比較は出来ないが、脚本としてはシンプルで分かりやすい。
公認心理師の主人公が、ある事件の犯人の生い立ちを調べるうちに、主人公自身のトラウマに対峙しつつ、犯人の心理を読み解いていく、という起承転結が明確なストーリー。
物語の根底には、父親や男性への不信感、不快感という重いテーマが流れており、主人公達がそれらとどう折り合いをつけるのかがこの物語の山場であり、事件の真相などはあくまでも表面的なエンタメ要素。
事実、真相は終盤の裁判シーンでの犯人の告白で語られるだけで、特に主人公たちが明らかにするわけではない。
だがしかし、画作り、演出はひたすらにサスペンス。堤監督らしさではあるが、絵と話が全く合致しない。主人公と犯人が涙しながら問答するシーンでも、どうしても、何か裏があるのでは?という疑念が拭えない。さらに芳根京子の熱演が余計胡散臭さを醸し出す。が、そのままさらっと物語は終わる。
結局、サスペンスにも振りきれず、人間ドラマとしても二流。
これだったら、もっと人間ドラマが得意な監督に任せた方が佳作が生まれたのではと思ってしまう。
「三度目の殺人」の様な映画を期待するなら、おすすめはしない。
個人的には、もっと堤監督らしい面白い映画を期待する。
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