「リア充爆発した! ジョンとヨーコでも助走つけて殴るレベルのへっぽこさ。」サイレント・トーキョー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
リア充爆発した! ジョンとヨーコでも助走つけて殴るレベルのへっぽこさ。
東京都心を襲う連続爆破テロの顛末を群像劇の形式で描くクライム・サスペンス。
謎の男、朝比奈仁を演じるのは『ステキな金縛り』『ザ・ファブル』の佐藤浩市。
事件に巻き込まれる主婦、山口アイコを演じるのは『もののけ姫』『コクリコ坂から』の石田ゆり子。
事件の捜査にあたる刑事、世田志乃夫を演じるのは『風立ちぬ』『クリーピー 偽りの隣人』の西島秀俊。
若きIT起業家、須永基樹を演じるのは『ピースオブケイク』『狐狼の血』の中村倫也。
都内に勤める会社員、高梨真奈美を演じるのは『銀の匙 Silver Spoon』『AI崩壊』の広瀬アリス。
ジョン・レノンの名曲「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」(1971)にインスパイアされて執筆された、秦建日子の小説が原作。ジョン・レノンのファンである自分からすると、「お前真面目にこの曲聴いたことあんのか!?」と言いたくなる内容であり、こんなもんを映画化しようと思った奴は何を考えているのか問いただしたくなる。もしかしたら原作小説は面白いのもしれないけどさ。
「アベ政治を許さない」。今となってはこの言葉も古くなりにけりって感じだけど、本作の軸となっているのがこの思想であることは間違いないだろう。
現政権に対する強い不信感を作品として打ち出す。その点については何の異論もないし、むしろどんどんやるべきだと思うんだけど、映画の内容があまりにもへっぽこすぎる。
犯人だと思っていた人物が実は…。真犯人だと思っていた人物が実は実は…。という具合に、観客のミスリードを誘う描写が本作には頻出するのだが、裏をかくことに気を取られるあまり登場人物の行動が意味不明になっちゃってる。特に中村倫也演じるIT社長の言動は一から十までマジでわけわかめ。
「いやいや、あの行動の理由はよく考えればわかるはずですよ。わからなければもう一度観てみて下さい…😏」と制作陣は思っているのかも知れないが、馬鹿馬鹿しすぎて集中する気になれないし、ましてや2度観ることなんて絶対ないっつーの。
辟易したのは登場人物がとにかくうるさいこと。
冒頭、バイトくんの先輩の演技の臭さに「ちょっとこの映画やばいかも…」と思ったのだが、その予感は的中。
10分に1回くらいの割合でキャラクターが怒鳴ったり叫んだりする。大声コンテストかっつーの。いくらパニック映画だからって限度ってもんがあるだろうがっ!!
特にひどかったのが広瀬アリス。中村倫也の隠し撮り映像を観た彼女のクソデカ叫び声には鼓膜が破れるかと思った。うるせえっっ!!💢
サイレント要素は一つもなし。『ノイジー・トーキョー』に改題してほしい。
細かいところまで指摘し始めるとキリがないのだが、特にツッコミたいのは一番の見せ場でもあるハチ公前大爆破。
総理大臣がテロリストと交渉しなかったことにより爆発が起き、その結果多くの民間人に負傷者が出た。そのような総理の姿勢を批判的に描いていたが、いや別に総理間違ってなくないっすか?予告無しならいざ知らず、このテロリスト爆破する時間も場所も事前に教えてくれてるわけだからね。そりゃテロリストとは対話しないでしょう。
この件で一番ダメなのはどう考えたって総理じゃなくて警察。何でもっと徹底的に封鎖しないのよ。時間の猶予は結構あったぞ。第一、あれだけの大爆発を起こせるだけの爆弾を何で発見出来ないんだよおい。
とにかく警察組織が無能すぎて話にならないし、それを無理に政権批判に繋げようとしているから物語が歪になってしまっている。最大の大見せ場がこのポンコツ具合なのだから、もうどういう顔してこの映画を観れば良いのかわからなくなってしまった。
良かった点はランタイムの短さ!
99分とは何と良心的なことか。まぁ短くしすぎたせいで完全に説明不足なんだけど、スカートとへっぽこ映画は短ければ短いほど良いですからね。
あと、なんだかんだ文句をつけたけどハチ公前大爆発の、「渋谷のダニども 全員死刑に処す」という思い切りの良さはgood job👍
実寸大のオープンセットを作り、そこに大量のエキストラを投入して撮影するという徹底したリアル志向。そのことにより生まれる迫力は一見の価値ありなのではないでしょうか。
そういえば、渋谷のクソガキの1人を今や大人気タレントとなったあのちゃんが演じてましたね。あのちゃんにもこういう時代があったのかー。豪快な爆死、見事👏
鼻くそほじりながら書いたのかと思われる脚本。
陸上自衛隊の国連PKO活動に端を発するテロリズム、平和ボケした日本に「戦争」を思い出させるという一連の出来事は完全に『機動警察パトレイバー 2 the Movie』(1993)の丸パクリな訳だが、残念ながら『パト2』の模倣すら出来ていない。
へっぽこなのは間違いないが、渋谷大爆発や気狂い爆弾学校といった面白い絵面のおかげで割と観ていられた。やはり爆発と気狂いは映画の華なのです💥
にしても石田ゆり子のバックハグ、いいなぁ…。あんなんされたら、たとえ嵌められたとしても許しちゃうよね💕