「日本人の危機意識の甘さへの強烈な問題提起サスペンス」サイレント・トーキョー みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人の危機意識の甘さへの強烈な問題提起サスペンス
本作は、東京で発生した連続爆破事件を巡るサスペンスである。冒頭からスピード感ある展開でテンポ良く物語は進んでいく。本作の特徴は、犯人に迫っていくサスペンス要素ばかりではなく、日本人の危機意識の甘さ、弱さを問題提起している点にある。通常のサスペンスとは異質な視点を持っている作品である。
クリスマスイブにTV局に恵比寿での爆破予告電話が掛かってくる。半信半疑で現地に向かったTV中継クルー来栖康太(井之脇海)と偶然現場に居合わせた主婦・山口アイコ(石田ゆり子)は犯人に脅され手先になってしまう。犯人の次のターゲットである渋谷での爆破予告時間が迫る中、警視庁の刑事・瀬田(西島秀俊)と泉(勝地涼)は懸命に犯人を追っていくが・・・・。
サスペンスとしては、犯人の姿が見えぬまま、次々と事件が発生するという王道の展開にハラハラドキドキさせられる。西島秀俊が一匹狼の刑事役を好演している。爆破シーンも迫力がある。肝心の犯人の動機が弱く、ラストもあっけなく淡白になった感はあるが、及第点だろう。
何と言っても本作のハイライトは、渋谷での爆破シーンである。爆破予告を軽視し、爆破予告場所に集まる群衆。平和国家・日本で絶対に爆破なんて起きないという慢心が満ち溢れるなか、予告は現実になる。慢心は恐怖に一変する。爆破シーンの描写がリアルであり、爆破テロの現実に心が凍り付いた。
世界中で爆破テロが起きている状況でも、日本だけは大丈夫という妄信。サスペンスではあるが、ここは、日本人の危機意識の甘さ、弱さ、への強烈な問題提起になっている。
ラストの、まだ・・・という文字はコロナウイルス感染拡大を示唆していると感じた。感染拡大という爆弾の爆発を阻止する為には、日本人一人一人が強い危機意識を持って、コロナウイルスと戦っていくしかない。自分の身は自分で守るしかない。
本作はサスペンスだが、日本人の危機意識の甘さを痛感する作品である。
みかずきさん、共感ありがとうございました。この作品は内容を大分忘れてしまいましたが、最近の事件を考えると、さすがに日本で爆破テロは起きないだろうとは考えられないですよね。コロナがまだ収束していないのに、東京ではみんながノーマスク、みたいな報道をしているのが気になります。電車や商業施設ではマスクしてますよね。