「わかりにくい点はあるが、それでもお勧め。」サイレント・トーキョー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
わかりにくい点はあるが、それでもお勧め。
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★内容に、戦争に関する議論を含みますが(ヒント?)、それについては採点の考慮にするものであり、ここで政治的メッセージを発するものではない(肯定も否定もしない)点は断っておきます。
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今年55本目。
東京爆破テロを題材にしたクライムサスペンス。
確かに全体として「あら」があることは事実です。無駄に多い登場人物に、さらによくわからないクライマックス(犯人や、その動機も、かなり「ぶっ飛んでいて」、サスペンスものとはいえこれをぴたり当てられる人は少ないでしょうね…。犯人はまぁわかったとしても)。
原作ありとのことですが、おそらく原作から削るに削る部分を極端に削って時間を適正なところまで収めたために(かつ、コロナ問題で120~級の映画より、90分程度で手軽に楽しめるほうが最近は好み?)、こう「わかるものもわからない」状態になってしまったのではないか…と思われます。
それでも、この映画を見れば誰でも「平和の大切さ」が裏に隠れたメッセージであることはわかるはずです。日本はテロや戦争にはあまり関係のにない、平和な国であるとは言えますが、それは表向きの話であり、実際は自衛隊の方や米軍基地で働いてくださっている方の協力などがあります。これは普段表立って、意識されないことですが、とても大切なこと。
そして、もう1つ。それは群集心理。「爆弾の設置予告があるからここには来るな」と(架空の)警察が何度も何度も言っているのに見たいもの見たさに集まる山のような人数。1人が行くなら2人目も、2人目が見るなら私も…とどんどん増えていき、あれほど「来ちゃダメ」って言っているのにもう無視。自分さえよかったらいい、みたいな群集心理が惹起する状態やいわばパニック状態。それがトラブルを引き起こします(=被害者が増える)が、とはいえ、そこはそうしないとストーリーが成立せず、やむを得ないのかな…とは思います。ただ、その危険さ(事件もトラブルも大きくなってしまう)こと、換言すれば「緊急事態でも情報の正しさは各自が(スマホのニュースなどで)受け取って各自で冷静に判断しよう」という点であり、この点は見た後であればすっきりわかります。
減点要素は下記の0.5にしています。参考にどうぞ。
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0.5…ストーリーとしてわかりにくい、という多くの声は確かにその通りかと思います。原作からかなりカットしたであろう部分、また、隠れたメッセージを最大に(ここに書くとネタバレになる内容で、あえて書いていない内容もかなり含む)くみ取らないと、「理不尽に理不尽に過ぎる」クライマックスとなるので、「なんじゃこれ??」ということになりかねません。
ただ、提示した隠れたメッセージの「平和の大切さ」「群集心理」(=人が何かしているなら、自分もそうする)=結果が雪だるま式に悪化する」をテーマにしている、と事前に把握していれば(これはネタバレの範囲ではないはず。「特集」にもある通り)、まぁその理不尽も収まるところもある程度収まります(これら「すら」提示されないと、0.5点どころの減点ではすまない…。結末も動機も予測不可能なほどぶっ飛んでいるので…)。
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