「映画史に残るだろう」ライトハウス ごまめ堂さんの映画レビュー(感想・評価)
映画史に残るだろう
凄いものを見てしまった!
多分100年後にも、映画好きに語られる映画になるだろう。
と言って難解な、一人よがりの映画ではない。十二分に映画本来のエンタメ性と見世物的なあざとさを兼ね備えている。
音響・映像・物語の3要素が完璧に融合している。
オープニングの音響と映像からして、何かとんでもないことが始まると予感させ、それから片時も気をそらすことなく観客をグイグイ引きずり込む。
140年前の、まだ船乗りたちの迷信が息づいていた頃、外界から隔絶された孤島の灯台。登場人物は高圧的なクソ爺の灯台守と、半月の約束できた新米の若僧の二人きり。究極のワン・シチュエーションで人間の心理劇が始まる。二人の演技が素晴らしい
フィルム・ノワールの遺産を受け継いだ光と陰の美学と謎を秘めたモノクロ映像といい、正方形というあえて動きのダイナミズムを制限して閉塞感を作り出す画面サイズといい、只者ではない。
閉塞された二人の言動と幻想とが化学反応を起こして、二人の関係性や人物像が次々に変化してゆくのがこの映画の眼目。説き明かされない謎を孕んだまま、物語の結末がどうなってゆくのか、目が離せなくなる。そして衝撃的な結末へ。
エンドロールに流れる歌と着想の説明クレジットで、これがどんな世界の物語だったのか再確認できて、すべて納得。
賛辞ばかりとなったけど、けなすところが見つからないのです。
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