「灯台守とは、なんと皮肉な仕事なのか。広大な海原に開いた視点を持ちながら、その職場は物心ともに究極の閉鎖空間。」ライトハウス kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
灯台守とは、なんと皮肉な仕事なのか。広大な海原に開いた視点を持ちながら、その職場は物心ともに究極の閉鎖空間。
始まって10分くらいから、合理的思考を持って見るべきものではないのだと気付いた。「灯台守。その影と光、音の奏でる破壊への道」とかなんとか言う宗教絵画とインスタレーションの展覧会を鑑賞するのだと覚悟を決めた。
CGとか、モーションピクチャーとか、関係ない。芝居とは、生身の役者が体と心を張って作り上げるものだという当たり前の事実を反芻させられた。(この二人、撮影終了後にリハビリした方がいいんじゃないかなと。)
途中まで、このような密室劇は舞台向けなのかなとも思ったけど、そういうわけでもなかった。ストーリーは倒錯していたけど、モノクロフィルム・スタンダードサイズの閉塞感、遠近カットの切り替え、音楽・環境音・生活音・セリフの完璧な重奏など、映像でこその作品なのだと納得した。そして、本来映像からは伝わらないはずの「臭い」が、時間が経った後もなぜか身体に残っている。「想像のメディア」としての映画を久々に見た気がした。
コメントする