「若い2人の未熟な恋愛により、その時にしか存在しない究極の美を見せつけられた」花束みたいな恋をした Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
若い2人の未熟な恋愛により、その時にしか存在しない究極の美を見せつけられた
土井裕泰監督による2021年製作(124分/G)日本映画
配給:東京テアトル、リトルモア、劇場公開日:2021年1月29日
脚本の坂本裕二さん色をとても強く感じた。「怪物」の一つ前の映画脚本。このヒト、やはり凄い。
高校生や大学生の頃、確かにこんな趣味の合うヒトとの恋愛を、夢見てた覚えはある。現実には、カスリもしなかったわけだが。
「花束みたいな」の趣意が良く分からなかったが、日本的美意識の研ぎ澄まされたもの、即ち、やがて壊れることを前提とする儚く、今がピークの究極の美しさをもつ恋と理解。
中高大学生の頃はめちゃ純文学にハマっていたが、主人公山音麦(菅田将暉)同様、今や全く読まなくなっている。映画に登場する今村 夏子、滝口 悠生、穂村 弘、長嶋 有、いしい しんじ、堀江 敏幸、柴崎 友香、小山田 浩子、多和田 葉子、舞城 王太郎、恥ずかしながら誰一人知らないでいた。知識アップに繋がりそうな実用的な書籍は、山ほど読んでいるのに。映画の言葉では無いが、自分の純文学的感性は退化してしまったのだろうか?それともそれを楽しむ余裕が無くなってるということか?
ただ本物の押井守を見て興奮する麦と八谷絹(有村架純)の感性には、全く同意できるところ。
あれだけ盛り上がってたのに、二人の思いが少しずつだが確実にずれていく様の脚本描写は、お見事。2人の未熟さを、暖かい眼差しながら容赦なく暴いてもいる。そもそも大人の恋とは異なり、互いを十分に理解していないことも炙りだされる。そしてこれを、醸し出す2人の雰囲気も含めて、見事に表現した菅田と有村も、素晴らしい力量の俳優と感動。ラスト映像もあって、年とったおじさんは、甘美なほろ苦さを覚えた。
監督土井裕泰、脚本坂元裕二、企画孫家邦 菊地美世志 那須田淳、プロデューサー有賀高俊 土井智生、撮影鎌苅洋一、照明秋山恵二郎、録音加藤大和、美術杉本亮、装飾茂木豊、衣装
立花文乃、ヘアメイク豊川京子、撮影効果実原康之、編集穗垣順之助、音楽大友良英、インスパイアソングAwesome City Club、VFXプロデューサー赤羽智史、スクリプター加山くみ子、イラストレーション朝野ペコ、助監督石井純、製作担当宮下直也。
出演
山音麦菅田将暉、八谷絹有村架純、羽田凜清原果耶、水埜亘細田佳央太、韓英恵、中崎敏、
小久保寿人、瀧内公美、森優作、古川琴音、篠原悠伸、八木アリサ、押井守(本人役)押井守、Awesome City ClubPORIN、Awesome City Clubatagi、Awesome City Clubモリシー
佐藤寛太、岡部たかし、加持航平オダギリジョー、八谷早智子戸田恵子、八谷芳明岩松了、
山音広太郎小林薫。
