「恋愛は数パーセントに満たない生存率」花束みたいな恋をした アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
恋愛は数パーセントに満たない生存率
「ファーストキス」に対する皆さんのレビューでこの映画を対比して書かれる方もかなりいらっしゃたので、観なくては思いつつ「花束みたいな恋」などと言う軟弱なタイトルが何となく障壁となり、大好きな坂元裕二脚本にも関わらず観ることを後回しにしていた。
結果、勿論、観てよかったのだが、若い時の恋愛が成就(いわゆる結婚のようなもの)しない理由が映画後半で満載となりあまりいい気分にはならなかった。
静岡に旅行に行った時、絹が「数パーセントに満たない生存率の恋愛を私は生きる」とのあるブロガーの文章を思い浮かべた時、麦は何も言わずにシラス(たぶん生シラス)丼を買いに行ってしまった。おまけに「さわやかのハンバーグ」も食べれなかった。このあたりから終わりの始まりが、。
麦と絹の運命に導かれたような偶然の出会い、挨拶がわりに読んでる本の交換してみたら盛り上がる作家談義、映画の半券を栞にするのも同じ。麦の家に行ってみたら「ほぼうちの本棚じゃん」。だから、今村夏子の「ピクニック」を語り合える。押尾守を神と言える。カラオケではきのこ帝国「クロノシタス」を一緒に歌える。映画はアキ・カウリスマ「希望のかなた」を観にいき、コミックは「ゴールデンカムイ」を好む。小説、漫画、アニメ、音楽、映画、演劇、ゲームなどさまざまなポップカルチャーを2人が大いに愛しているのが素晴らしい、。のだが、。
仕事してお金を稼がなければ家賃も払えないし、ご飯も食べれない。当然、趣味に贅沢なお金は使えない、。あーあ、当たり前の事です。だからバイトもするし、就活もするし、せっかく入った会社では頑張らなきゃいけません。
絹さん、麦が仕事ばかりになってつまんない人間になったのがいけなかったのですか?別れるってことは、結局好きではなかったのですか?自分でもよくわからないですよね、。若い時にありがちです。ちょっとした感性のズレ、一瞬のすれ違いが全てを壊してしまいます。
麦が結婚して空気みたいな関係になれば気にならないみたいな事言ってましたが、それって以外に真実なんです。あんなに好きなものが同じなんて多分奇跡的なことです。ずーっと一緒にいても良かったんじゃないですか?
坂元裕二脚本の「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」は私が選ぶドラマ史上最高ランクの作品だし、「ファーストキス」も私が選ぶ映画史上のトップクラス。ストーリーだけでなくこれらの作品はどれもセリフのノリが大好きだった。この「花束みたいな恋をしたい」もいい感じのノリだったのですが、ご自身の趣味嗜好持ち出し過ぎだったのでは?大ヒットしたから多くの皆さんが受け入れたんですけどね、。
次の新作は「片思い世界」監督も土井宏泰で再びタッグを組むとのこと。楽しみにしています。