「渋谷パルコ閉店って知らなかった」花束みたいな恋をした 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
渋谷パルコ閉店って知らなかった
2021年映画館鑑賞27作品目
3月16日(火)イオンシネマ石巻
若い頃は東京に住んでいたこともあり今は田舎者なので渋谷パルコ閉店していたとは知らずショックだった
仙台にはパルコがあるのに
無くなっちゃのかと思ったら19年にリニューアルオープンしてるじゃん
それくらい自分のなかでは東京は大きく離れてしまった
『花束みたいな恋をした』というタイトルがまずピンとこなかった
女子ならきっと「わかるーそういう恋もあるよねーあるあるー」ってやりとりが想像できる
自分はヤボテンなので花束というとプロレスラーや生ダラの石橋が試合前の乱闘で叩き合うための小道具というイメージが1番先に思い浮かぶ始末
『あの頃』は男臭く『あのこは貴族』は女臭かったがその後遺症がこの作品のおかげで中和され心は浄化した
2人の間に浮気とか暴力は一切ないまま終わるのも美しくて良い
原作無しのオリジナル
冒頭は元カレと元カノが喫茶店でバッタリ出会うシーンから始まる
2人の出会いと別れを振り返り最後は店を出ていき背中越しに2人はバイバイする
麦と絹の物語
2人の名前の響きも良い
終電乗り遅れでバッタリと出会い似たもの同士ということで話が弾み意気投合
2人はやがて付き合うことになり調布駅から歩いて30分の川沿いのマンションに引っ越して同棲生活が始まる
2人の会話とか心の呟きは全く意味のない情報の羅列で脳内のだいたひかるが「どうでもいいですよー」と何度も何度も抗議する
そこから後半は「どうでもいいですよー」に対して脳内の陣内智則が「どうでもいいことあるかい!」とツッコミを入れてくるような作品
長岡から上京してきた麦の父親が地元に帰らないなら仕送りをやめるという
それがきっかけで麦はフリーターを辞め就職することになる
絹は資格を取り病院の事務員に就職
そこから2人はズレ始め別れていく
麦は変わっていくが絹は変わらない
『劇場』とは逆
仕事のイライラなのか転職する絹に辛く当たる麦
いわゆるモラハラいわゆる精神的DV
絹はどうしてもそれが許せなかった
大事にしているものをパートナーに傷つけられるのはかなりきつい
菅田将暉も有村架純も前半は平均的な菅田であり有村に過ぎなかったが後半からは非凡
部屋で喧嘩の勢いでプロポーズするときの麦の表情が印象的
最悪のプロポーズ
これも絹が許せないポイントか
ファミレスでやっぱり別れたくない結婚しようと説得に励む麦に対する絹の表情も印象的
女がこうと決めたら絶対に変えない人が多いなか男ときたらいつまでもグズグズしている人が多いね
そんなやり取りのなか隣の席に初々しい付き合い始めのカップルがやってくる
岩崎宏美ように前髪で額を隠す清原果耶登場
麦と絹は付き合い始めた頃を思い出し絹は泣き出し先に店を出る
麦も後を追い店を出て2人は夜のファミレスの前で抱き合い結局別れることになる
このやりとりは泣ける
どうでもいいありふれた内容だが欠伸ひとつ出なかった
不思議と退屈しなかった
自分に合っていた作品だったこともあるが脚本がそれだけ優れていた
さすが東京ラブストーリーの人
カメラ割も自分好みで2人のシューズの描写なんていらないだろうと思うがそれがいい
もう一度映画館で観たいとは今は思わないがDVDとかで何度も何度もセリフなどを確認してスルメイカのように味わいたい名作
飛田給っていま思うとやっぱり変な駅名だな
飛田某って名前が胡散臭い
オダギリジョーは『深夜食堂』と同様に溶け込めていなかった
韓英恵は『ひとよ』とかではキンタローに寄せていたが最近はだいぶ綺麗になった
桜井亜美の小説の表紙を飾っていた頃に少しだが戻りつつある
イヤホンのLとRの話でB'zの『BE THERE』の出だしを思い出した
荷物を海に捨てて逮捕された運転手の顔は輪郭は違えど山田哲人の知人男性になんとなく似ていた
3ヶ月セックスしていなかったらそろそろ結婚しようかと言ってはいけないのか
それならセックスしている真っ最中に「そろそろ結婚しよう」と告げるのが最高のタイミングなのだろうか