「花束みたいな恋」花束みたいな恋をした サリーさんの映画レビュー(感想・評価)
花束みたいな恋
とはどんなものかしら…と、見終えてずっと考えている。坂元裕二作品が好きで、見るまでに時間がかかってしまった。
私にももちろんこの2人のような恋をしたことがあり、それはジャックパーセルじゃなくシューレース付きのレペットから始まったり、終電後に部屋に上がって真っ先に本棚を見たり、タムくんに描いてもらったことはないけど展覧会には行ったとか、良かった思い出だけ幾らでも出てくるような気はする。
この2人みたいにきちんと見届けて、3ヶ月もしみじみ終わりを味わえる余裕は、いつも私には無いなとは思った。
確かに私たち一人ひとりは名も無い、花束の中の一輪に過ぎない花だと言える。花束が解かれて花瓶に生けられて隣の花が変わったり、解かれる前に萎れて枯れたりしている。
そこに見出される美しさは、些細な共通点や差異を愛でてときめくことから始まる。
花も恋も、美しいと感じる心が無ければ、美しいとは言われない。本当に美しいかどうかは、誰も知らないし、誰か1人が決定して世の中の通説になることでもない。
終わりまで笑顔で描かれた恋は美しかったけど、どこか恋自体の終わりとか、手の届かなさも描かれたような気がするのは、観る側の問題なのでしょうか(知るか)。
結婚と恋の決定的な相容れなさも逆説的に救いにもならなかった本作では、2人のその後を引き続き想像しながら共に生きるという、坂元作品の定番の楽しみ方はより有効かなと思いました。
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最後の一文への補足:
個人的には有村さんと菅田さんが上手すぎて理想すぎて、自由な妄想が難しいのですが。例えば松岡茉優さんとか、満島ひかりさんとか、高橋一生さんあたりだと、本人の個性と役柄の行動が混ざって謎の生き物として、勝手に歩いていってくれる気はするのですが、それがどういうことなのかは自分でもよく言葉になりません。。
有村さんと菅田さんのお芝居は好きです。全然違う役でも2人を見てみたい。