「単なる「ラブストーリー」ではない」花束みたいな恋をした つばきさんの映画レビュー(感想・評価)
単なる「ラブストーリー」ではない
序盤こそ麦と絹の趣味や気が合いすぎて「そんなことあり得るか?」と思いながら観ていたが、
そんなことを忘れてしまうくらいには、付き合ってから別れるまでの心情の変化がリアルすぎて心に刺さりまくりだった。
付き合いたてのラブラブいちゃいちゃした感じ、お互いがお互いに気を遣いすぎて徐々にすれ違っていく様、でも別に嫌いになったわけではなく普通に過ごせてる感じ、昔を懐古してしまう場面が多々あってしんどくなった。
居酒屋で「じゃあこれはここで会うためのチケットだったってことですね」って言って気まずくなっちゃうシーン、ドライヤーのシーン、信号待ちのキスシーン…
キュンキュンニヤニヤできるラブストーリー要素ももちろんあったが、
どこかそれ以上のものがあり、「ラブストーリー」と括ってしまうにはもったいないと感じた。
最初はお揃いだったスニーカーがいつからか違う革靴になっていた描写が印象的で、
「始まりは、終わりの始まり」「恋愛はナマモノだから」等(もっと他にもあったが忘れてしまった)、なるほどなあ、そうだよなあ、と思わされるセリフがたくさんあった。
2人の言葉選びも面白く、麦の父に「ワンオクは聴くかい?」と聞かれて「聴けます」と答える場面は特に絹の性格が現れていてニヤッとしてしまった。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、
モヤモヤするわけでもスッキリするわけでもない、
でも自分の経験を思い出したり恋愛や結婚について考え直したり、なんとなく悶々としながら帰路につくような映画だった。