「理想から現実へのラブ・ストーリー」花束みたいな恋をした bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
理想から現実へのラブ・ストーリー
大学生から社会人にかけての、理想と現実の生活の狭間で揺れ動くラブ・ストーリー。
いつも相手のことが気になり始める出会いから、相手を思いやる気持ちを忘れてしまう別れの時までの、恋愛感情の変化を、菅田君と架純さんがリアルに演じていた。一つ一つの会話や言葉の中に、同じような立場の現代の若者の声が聞こえてくるようだった。
確かに最初の出会いは、趣味や考え方があまりに同じで、やや都合よ過ぎの部分もあったが、ほのぼのした2人のやり取りに、思わずニンマリした人も多かったのではないだろうか(笑)逆に、最後のファミレスで、以前、自分たちの座っていた席に、別の若い男女が、あの時の自分たちと同様に、初々しく語り合うシーンは、胸にグッと来るものがあった。
菅田君は、昨年、『糸』で話題の小松奈菜さんと共演し、ラブ・ストーリーを演じたが、『糸』は様々な人たちが絡み合う中で、2人の愛の運命を劇的に演出する切なさがあった。しかし、今回の作品は、登場人物も限られ、2人の恋愛の様子だけをカメラで追い、そこに映し出される表情は、等身大の若者そのものであったように思う。
架純さんの演技も、4年の歳月の中で、可愛らしい女の子から、大人への女性へと新たに踏み出していく心の葛藤と変化が良く伝わってきた。2人とも、素で演じていたのではないだろうかと思うほど。
それから、それから、静岡の今や名物た『さわやかのハンバーグ』や牧之原が舞台となったのには、静岡県人として、うれしかった(笑)