「恋はナマモノ、賞味期限があるからこそ…」花束みたいな恋をした あささんの映画レビュー(感想・評価)
恋はナマモノ、賞味期限があるからこそ…
2015年から2020年までの時代背景とともに、ある男女の恋の始まりから終わりまでをリアルに描いた作品。
他人の恋愛事情を見ることによって、客観的に自分の恋愛経験も見つめることになる。わかりみが深いとはまさにこのこと。
ずっと同じ人を好きでいることはほぼ不可能である。
恋の賞味期限はよくもって三年と言われていて、そもそも恋とは脳の快楽ホルモンによっておこるものであることも科学的に証明されているのだ。
恋のいざこざも男と女の脳の構造のすれ違いによって起きる。
また男の愛情は責任であり、女は共感やダイレクトな愛情を求めるということが、本作からも感じられる。
花束って特別なもので、そこにあるだけで日常が彩り華やぐ。そして恋は花束のようなものでいつか、枯れてしまうのだが、たとえ枯れたとしてもドライフラワーのように楽しむことはできる。それが例えるのなら“結婚”ではないのかなと。(経験者から見て)
とはいえ、やはりドライフラワーより、生花、瑞々しいフレッシュな花束の方が良かったりして(だから不倫って古今東西なくならないんです)。
恋愛は儚くもあり人生をより豊かにしてくれるエッセンス。恋せよ若者、夢みよ若者、そんなメッセージ性を感じた。
カラオケっぽくみえないカラオケ、あの“蜜”が今は懐かしくもあり、そして、渋谷パルコが閉店したり、スマスマが最終回を迎えたり、パズドラにはまったり、前田裕二の『人生の勝算』、Air Podsじゃないイヤホン、この5年間の時代の象徴といったものを加えての描き方も好きだ。
部屋のインテリアも、絵も、色調も全て私好み。
不満な点を挙げるとすれば、エンディングで、オーサムシティクラブの『勿忘』が流れるとばかり思っていたから、そこが残念。聴きたかったな。