許された子どもたちのレビュー・感想・評価
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誰も救わず、救われない冷酷な世界
公開終了ギリギリに観ることができました。
いじめによって同級生を殺してしまった少年たち。
だが、彼らは裁かれなかった。
事件後の被害者、加害者、共犯者、無関係の偽善者たちを主犯の少年市川絆星の視点で描いていく。
まず、実際の数々の少年事件を基に構想8年で作り上げた甲斐あって、内藤瑛亮監督にしか描けない傑作に仕上がっていました。
そして、とにかくリアルです。
被害者は勿論傷つき、加害者側家族もマスコミやネットで叩かれ、何処へ逃げてもとくていされ、幸せを奪われていく。
登場人物たちの心情や置かれる立場がコロコロ変わるので、展開が読めず、その上なんとなくモヤモヤ感が残るのが素晴らしい作りだと思います。
正義と悪についても考えさせられました。
正義も過剰になると悪となる。
転校した学校でのいじめ、いじめのターゲットの変更及び、ネットでの断罪と称したプライバシーの拡散、特定。
そうやって、いじめは伝染するんだなと感じました。
この物語に絶対の正義は存在しません。
登場人物皆どこかおかしい。
単にいじめの怖さを伝えるわけではなく、二次的災害的な部分にまでスポットを当てているのが印象的でした。
最後に一つ言えるのはいじめやそれに関係した過ちは、決して許されないということ。
ネット社会となった今だから観ておきたい、社会風刺もよく効いた衝撃作でした。
重たくて、重たくて。
なんとも言えない後味だった。映画の題名どおりと言えばそれまでなのだが。モデルとなった2つの事件は、いずれも14歳以下。法改正されてもされてもキリがない、刑事訴訟を免れる年齢。裁判の内容そのものも考えさせられる。被害者の父が訴えにもうなずかされる。裁判とは正義に基づいて裁かれる場ではないのか。このコロナでも話題になった自主警察も大活躍する。その上、母と子の依存関係にいじめの連鎖と続いてくる。トドメの在日への差別?どこを切り取っても重たい題材がこれでもかと押し寄せてくる。当たり前のことだけれど、被害者に家族がいるように、加害者にも家族がいる。後味の悪さは最後の穏やかな親子のシーン。そもそもこの映画は、何が言いたいのだろう。問題提起として捉えていいのだろうか。
「許された」をどう受け取るか
仲間内で悪い事ばかりしていた不良グループのリーダー:絆星(キラ)が手作りボーガンで同級生を殺めてしまう。
法的話にもなり不起訴となるが、社会はその事件を放っておく訳が無い。
観客は加害者側を「ざまぁねぇな」とか「少しやられ過ぎて可哀想」と思ってしてしまう展開だ。しかし、描かれた序盤真実が無ければ首謀者以外は真実を知らない人間達のドラマ。
子供の為なら何しても構わない様なモンスターペアレンス的主人公母親(この少しお金持てばBMWを買って乗ってしまう様な中層家庭には笑える)、真実など気にせず自身の役割をこなそうとする容疑者弁護人、境遇から逃げようとしてもネットで名前が晒される加害者主人公、偽情報にてイジメに遭う少女、自分のイジメを棚に上げる子供達等、かなり現代社会的である。
子供も大人も、誰もが同じ境遇になるかも知れないというサインだと思うし、心に受け止めて置きたい。
面白いのだけれども、映画としてはラストが投げっぱなしジャーマン的なのは頂けない。
「そこまでこのテーマでやっておきながら行き着く先はそこ?」的。ちょっと途中までの盛り上がりからは少子抜け。
「(第三者から観て)やってる事おかしいんではないか?」
それを言えなくなってしまった現代社会の罪と罰。
面白かったですよ✨
決して許されない子どもたち
許しの境界線はどこにあるのか。
正義の鉄槌を下すのは誰なのか。
悪意の連鎖の先にあるのは何なのか。
ありったけの胸糞悪さが詰め込まれ、答えの無い苦しみに揉まれる、どうしようもなく虚しい映画。
一つの事象も、見る方向や見る人によってその形は全く変わってくる。
そんなことを改めて実感する映画だった。
もう何が正解かなんて、何が正しいかなんてわからないよ。
人を殺した子供「キラ」に徹底的にスポットが当たり、彼を取り巻く環境や人間関係の変化、彼自身の変化を追うストーリー。
不処分にされたことで起こる私刑とネットリンチの数々を小気味よく「いいぞ!もっとやれ!」くらいに思っていた序盤。(そう思わずにいられた人、いる?)
「やりすぎ」を感じると共に、キラ一家の辿る運命を興味深く観ていた中盤。
今までの時間ってなんだったんだろう、と、唖然とする終盤。
観ているうちに自分の気持ちも変化していき、それがなんとも後ろめたく気持ち悪い。
あの場にいたら、私ならどうしていたか?あの中に自分の家族や友達がいたら、どうするか?全然わからない。
たしかに変わっているはずなのに何も変わっていなくて、人間という生き物のややこしさを叩きつけられる。
結局逃げ回るしかない。
あれだけ晒しあげられたらそうなるのもわかるけど、キラも母親も罪そのものやそれについて深く考えることを放棄して、ただ逃げ続けているだけ。
まあ、わからないでもないけども。
向き合ってしまったら最後だってことも、やっと生まれた罪悪感のやり場の無さも、ショーンとカミュに対するキラの苛立ちも、感覚的にはなんとなくわかるじゃない。
でも理解しようとは思わない。そうした途端に正当化してしまうような気がする。救いようがないのかも。
桃子の存在は不思議だった。
キラに寄り添い、彼に影響を与える面白いキャラクターだった。
ただ、結局彼女もキラの特別感に惹かれて浸っていただけだとも思える。
エゴの強い人間だったような気がしなくもない。
腹立つ人間のまあ多い映画だった。
その中に自分が立たされている感覚になる。いや、現実そうなんだろう。
いつだって加害者になり得る。人を傷つけたことも人に傷つけられたこともある。
所々で入る印象的な演出と多少大袈裟な出来事で、これが「映画」であることを強く感じた。コマ送りもスローモーションも面白かった。映画で良かった。
もしも最初に正直になっていれば、少しは違った未来があったのかしら。
ポスタービジュアル、川面に写る四人の姿にまたズーンと重いものを感じた。
何を許されたのか。
これはかなり衝撃的!!
贖罪とは何か?!みたいな内容と思ってたら全然違った。
何にそんなに怒っているのか。
何がそんなに気にくわないのか。
何故止まらないのか。
何故止められないのか。
感情のままに荒ぶる子どもたち。
そしてそれを真っ向から受け入れられない腐った大人たちが次から次へと登場してこの世の終わりかと思いました。
多彩なカメラワークとSNSも巧みに取り入れ子どもを取り巻く日本社会の闇を描いた作品で、私はかなり良かったです!
彼らは一体何を許されたのか。
裁かれないのは許されたということなのか。
裁かれなかったが故にますます暴走していく子どもたち。
二人だけの世界で生きる母子の真っ暗闇の先にある吐き気がするようなラストシーン。
そして無邪気に歯を見せながら赤ちゃんに手をふる許された子ども。
とにかく釘付けの130分。終わったあと大きく深呼吸しました。なんか、めっちゃ疲れた(笑)
最後に10代の俳優陣の演技が本当に素晴らしかったです!次はどうかあったかい役を演じてくださいね😆お見事でした!
とても良い映画だった?
最後はハッピーエンドだったし、内容自体は良かったと思う。
人間の行動は遺伝を含めた環境の要素によって決まるものであり、自由意志など存在しない。ゆえに自己責任などというものはない。これは、社会科学・認知科学的にも認められている事実である。上記のことからして、本質的にはそもそも人に”責任”を負わせる・償わせるという概念はそれ自体が成立しない。しかし人間が作ったこの社会を健全に動かしていくにあたって、それでは不都合が生じるために、法律が作られ、それに違反したものには懲罰を与える、罪を償わせるというルールが出来た。それが社会における”責任”というものなのだろう。しかし、現実を見てみるとどうだろう、法律を作る側の人間が不正をしていたり(その程度の人間が法律を作っている)、自分たちに有利になるよう法律を改正したり、権力のある弁護士を雇えば好き勝手に法律の解釈を変えることが出来てしまうというようなことが起きている。上級国民案件などは殆どそういった内容である。そんなものに価値はないと思う。法律なんて単にお上の都合のいい社会を形作るために作られたクソみたいなものでしかないのではないかと思う。そもそもその人間自体には”責任”なんてものは最初からないんだから、法律や責任などというゴミみたいなものに縛られて生きるよりも、自分の生きたいように生きる方が良いのではないか。
最後はそういった呪縛から解き放たれたことが感じられるようなセリフとか演出があって、ハッピーエンドに思えた。
本作には様々な角度からの胸糞があって、けどそのどれもが今を生きる僕...
本作には様々な角度からの胸糞があって、けどそのどれもが今を生きる僕たちに突きつけられているもの、時に幾分度合いが増していたとしても見覚えのある景色が広がっている。例えば被害者が泣き寝入りするしかないこともしばしば起こる法律、私生活の鬱憤を見ず知らずの人をインターネット上でこき下ろすことでしかストレス発散など自分を保てないネット民・ネット弁慶、誰もがイジメっ子になりえ又人殺しにもなりえる繰り返しの構図。人間性を奪い残酷にしてしまう様々なものを告発・揶揄といった明確な形というより問いかけてくる。粘着質な生活音に、現実に一旦ファンタジーを通過させるような非現実的DQNネーム、物に取り付けられたカメラはじめ自主映画っぽさもある尖った演出。何より参考文献の多さに感銘を受けた、私的経験のみならずそうした勤勉さが本作の繊細かつ曖昧な現実にリアリティーをもたらしているのかと感じた。キラ役上村侑は演技は多分まだまだこれから磨かれていくのだろうけど、若かりし頃の柳楽優弥を彷彿とさせる顔つき目つきで、(演出の良さもあるだろうけど)独特のスクリーン映えする存在感とポテンシャルを感じた。
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